ニッケイ新聞 2009年6月30日付け
【既報関連】六月十五日の七四人以降、患者が急速に増えている新型インフルエンザで、二十八日に初の死者が出たと二十九日伯字紙が報じた。
同疾患最初の犠牲者となったのは南大河州のトラック運転手で、アルゼンチンでの仕事中の十五日に発症、十九日帰伯。
二十日にエレシンの町で受診し入院、症状悪化で二十二日からパッソ・フンドの病院に転院したが、二十三日から肺炎併発。二十四、二十八日にかけて複数回の心停止が起きた後、死亡した。
肝炎やエイズなどの既往症はなかったが、初期対応の遅れで病状進行の上、ウイルスへの反応も過敏だった様だ。
一方、同運転手家族五人も感染確認など、国内感染も増えており、二十八日現在の患者六二七人の二五%は二次感染。被疑者も四七七人に上る。
急速な患者増加や国内感染の広がりを受け、保健省が診断、処置基準の変更を打ち出した事は二十七日エスタード紙が報道。特効薬タミフルも、被疑患者全てに処方されていたものが、二歳以下か六〇歳以上、妊婦、糖尿病患者などへの処方となる他、感染判定テストも被疑者全員に適用する必要はなく、学校や会社などで真性患者が出た場合、その後に表れた被疑患者は、真性患者とみなす事にするという。
同処置について保健相は、ウイルスに薬品耐性が生じる事を防ぐのと副作用の被害蔓延を防ぐのが目的と説明。寒さによる免疫低下と、学校休暇などで旅行の機会が増える事で、患者数は更に増えるとも予測している。
病院で受診まで二時間以上待たされたとか、国外旅行の有無などについて質問しない病院があるなどの指摘の他、バスでの帰伯・入国者への指導や管理の不足など、水際作戦の弱点も問題視されているのも実情だ。
特に、アルゼンチンやウルグアイと国境を接する南大河州では、今後の感染者増は必至と見られ、住民三万六千人で被疑者二人が出たイタキー市が二十九日、非常事態宣言し、授業停止や行事延期を勧める処置を導入した。重症例は少ないが、最初に非常事態宣言をしたサンガブリエル市で罹患確認の一四歳の女子学生は、今も集中治療室入院中だという。