ニッケイ新聞 2009年6月30日付け
〃根ざす〃をテーマにした第一回日本文化祭りが、十二日から二十一日までエンブー市で開催された。昨年の移民百周年を記念して市が制定した「日系移民週間」にあわせて行なわれた同イベント。二十、二十一両日には市内ラーゴ・フランシスコ・リーゾ公園で、「第二回ANIMAEMBUニッポンマツリ」も開催され、同週間を通じて約二万五千人が訪れる賑わいをみせた。
会場に入り進んでいくと、百二十枚程の大きな白黒写真が目に飛び込んできた。一九三一年に戦前邦人社会の指導者育成を目的として同地で開かれたエメボイ実習所生徒の写真や、「一九五〇年エメボイ運動会」など、エンブー日系社会の歴史を伝える写真がずらりと展示してあり、来場者の関心を集めていた。
写真は、滋賀県日野町との姉妹都市提携(一九八四年)をきっかけに作られた「エンブー・日野友好の会」の長田真央会長が所有者の自宅を一軒一軒訪問し、デジタルカメラで撮り直し、全ての写真に年代と名前を追記したものだ。
他に、盆栽や蘭の展示即売会、「日本の間」には生け花の展示もあった。さらに、日本文化のワークショップが開催され、和紙絵や折り紙、押し花アート、書道、お茶席などのコーナーが設けられていた。お茶会に母親と参加した木村怜子さん(三世)は「粉から点てるとは初めて知った」と感想を語った。
書道コーナーでは、参加者がカタカナで書かれた自分の名前を何回も筆で書き、記念に持ち帰る姿が見られた。
特設ステージでコスプレが始まると、会場に用意された椅子は超満員となり、関心の高さを示した。大正琴の演奏でも、揃いのピンクのブラウスで着飾った十六人の一糸乱れぬ演奏に、次々と人が集まり、音色に酔いしれていた。
最終日の二十一日は好天にも恵まれ、夕方になっても会場は多くの人で賑わった。同市のシッコ・ブリット市長は、「エンブーだけではなく、ブラジルのお祭りにしたい。これからも大きくやっていきたい」と次回への意気込みを表わしていた。
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移民週間では、十二日からCentro Cultural Mestre Assis do Embuで、地域の日系画家十二人による作品展を開催。十四日十時から、ロサリオの墓においてエンブー慰霊塔奉賛会(木村優会長)主催による第五十一回慰霊祭が執り行われた。
十七日には市議会で特別議会が開かれ、地域に尽力した日系人として、聖西文化福祉芸能連合会の橋谷文夫会長、イタイン照明器具製造販売会社の阿部恭三社長、ダイクハラ・イサムさんらが特別表彰を受けた。
二十日午後一時からは、市内慈恩院で宗祖弘法大師空海の生誕を祝う「青葉祭」の法要と、先亡者慰霊法要が執り行われ八十人が参加した。