ニッケイ新聞 2009年7月2日付け
国連臨時総会は六月三十日、ホンジュラスの政変によって発足した臨時政権を否認したことを七月一日付けフォーリャ紙が報じた。国連はさらにセラヤ政権以外の政権は認めないとし、直ちに原状復帰を求めた。
同大統領は、ブラジルと米国、ベネズエラなどの支持に謝し二日、エクアドルのコレア大統領やキルチネル亜大統領、OAS(米州機構)事務局長、国連南米局長などを同伴して政権に復帰することを宣言した。
同大統領は来年一月二十七日まで残る任期を遂行し、次期大統領に政権を引き継ぐ意向という。同大統領が企てた憲法改正による再選は、断念を表明。余生は家族や友人と過すと明言した。
ブラジル外務省は、政変によって生じた臨時政権への報復案を取り下げた。同国への支援計画は、バイオ燃料計画と医療援助であった。
医療援助では、シャーガス病の血清や母乳銀行、精神病院の建設。ホンジュラスのGDP(国内総生産)は僅か、二百五十億ドル。失業率は二八%。国民の五〇%は、極貧状態だ。
ホンジュラスの主産物は、コーヒーやバナナ、海老で米国依存経済。たとえ政変によって政権が交代しても、自立困難とブラジルは見ている。
セラヤ大統領の帰国によって生じる臨時政権との摩擦は、ブラジルのサムエル・P・ギマランエスOAS大使が交渉に当る。経済の柱がなく国連から否認された同国の臨時政権は、末期症状を呈する。セラヤ政権の復活には、ブラジル政府の経済的てこ入れが必要だと外務省は見ている。
一方、ミチェレッチ臨時大統領は、セラヤ大統領はチャベス大統領のあやつり人形であると非難し、帰国すれば逮捕するという。憲法改正を企てる国民投票、最高裁から違憲判決を受けた憲政議会設置は、チャベスのシナリオだと訴えた。
臨時大統領は、チャベス旋風で左傾化する中南米の行方を憂慮するという。ホンジュラスには、健全な憲法と伝統があり、それを守る人たちがいる。十一月の大統領選挙に、ホンジュラスの未来を賭けると訴えた。