ニッケイ新聞 2009年7月4日付け
アモリン外相は「G8サミットは死んだ」と十五日前に宣言したが、第三十五回G8サミットを一週間後に控えた米独両国では、同会議の棺桶に蓋をするかのような発言が相次いでいることを三日付けフォーリャ紙が報じた。
メルケル独首相は二日、独議会で「G8サミットは、時代遅れ。国際経済の未来を論じるには、ブラジルのリードで結成されたG20が理想的だ」と述べた。
イタリアで開催されるG8サミットは、米国で九月開催予定の第三回G20の準備会議トーク・ショーになりそうだと、ホワイト・ハウスのマイケル・フローマン国際経済担当官がいった。
ロンドンとピッツバーグで開催された二回のG20は月並みのG8とは異なり、問題の核心を突いた的確な審議が行われたと、オバマ大統領を交えた非公式会議で同担当官が言及した。
G8終焉とG20格上げが成れば、ブラジル外務省の希望通り。G20サミットとなれば、ブラジルが国際経済の自称指導者として座長席にしゃしゃり出る。お鉢が回るのは、ブラジルが期待していたところだ。
イタリアでは、二つの国際会議が催される。G8とG5+1(ブラジルと中国、インド、メキシコ、南アフリカ、エジプト)だ。ここでブラジルはイラン問題で顔を売る。オバマ米大統領が顔を出す所は全て、イランが中心議題になる。
ホルムス海峡は、国際経済の急所。G8は二つの国際会議開催前に非公式会合を開き、イラン問題で先手を打つ考えらしい。ルーラ大統領がイラン選挙に敗れた野党の抗議は、負け犬の弁明だと位置付けたからだ。
イランに関しては、ブラジルと欧米の間に大きな見解差がある。中国もアハマジネジャド支持。後は、米国とロシアの出方だ。イタリア・サミット前夜祭は、二派の旗印が鮮明となった。