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ホンジュラス=大統領の帰国阻止=臨時政権が徹底抗戦の構え

ニッケイ新聞 2009年7月7日付け

 ホンジュラス臨時政権は五日、追放したセラヤ大統領の搭乗機が帰国を試みてテグシガルパ国際空港に着陸するのを阻止と六日付けフォーリャ紙が報じた。同機は難を避けて、ニカラグアのマナグアへ進路を転じた。
 セラヤ大統領は国連総会のミゲル・デスコット議長やインスウサOAS(米州機構)事務局長などを同伴し、ワシントンから帰国の途についた。別の機にはエクアドルのコレア大統領やキルチネル亜大統領、パラグアイのルゴ大統領が立会いのため搭乗したが、着陸阻止のため、エル・サルバドルへ迂回した。
 同国では親大統領派のデモ隊と警備隊が衝突、死者一人と重傷者三人を出す騒動へ発展した。ホンジュラスのミチェレッチ臨時大統領は、OAS代表との対話には応じるが、その他随行員の関与は一切拒否という。
 OAS臨時総会は五日、参加三十三カ国の満場一致で、ホンジュラス臨時政権をOASから排除することを決議。これはホンジュラスに対し一切の経済支援を、凍結することを意味する。
 ルーラ大統領は「ホンジュラスの政変が米国の対ラテン・アメリカ政策へもたらす影響を憂慮している。同政変は対岸の火事にも見えるが、ブラジルには大きな教訓を示している」と語った。
 その一は、キューバに対する経済制裁解除がブラジルにとって益かを、オバマ米大統領がルーラ大統領へ打診した。ルーラ大統領はその時、米キューバの正常化をもろ手を挙げて賛成した。
 その二は、ホンジュラスの政変が、米キューバ正常化は正解であったかの疑問を投じた。ホンジュラスに対し強硬態度をとるなら、キューバに対しても強硬態度をとらざるを得ないからだ。
 ホンジュラス臨時政権に対し民主手法を強請するなら、キューバに対しても民主手法を強請せざるを得ない。
 その三、キューバのOAS復帰は、ラテン・アメリカとワシントンの間で「躓きの石」にならないか。
 不都合なのは、OASのホンジュラス排除宣言が臨時政権の手足をもぎ取り、同国の政治経済正常化を危うくし中米に真空地帯を作ること。唯一の解決策があるなら、政変前に十一月と決まっていた総選挙を行い、国民が望む民主政権を樹立することだとルーラ大統領が述べた。