ファベーラから世界に=ユース陸上のタマラ選手=期待される7種競技の金
ニッケイ新聞 2009年7月8日付け
八日からイタリアで開催される第六回ユース陸上競技選手権大会(一七歳以下)で、ブラジル選手団の活躍が期待されている。六月二十四日付ガゼッタ・スポーツや五日付エスタード紙によると、同大会に参加するブラジル選手は、男子八人、女子五人の計一三人。
この中で、金メダルの期待が高く、国際陸上競技連盟世界ランキング二位のタマラ選手について、エスタード紙が特別記事を掲載している。
一五歳で一八七センチの恵まれた体を持つ同選手は、映画にもなったリオのファベーラ、シダーデ・デ・デウス出身だ。
麻薬に手を染め、銃器類を使って地域を支配していく青少年を描いた映画の世界が、警官駐留開始の〇八年まで続いていた同ファベーラでは、麻薬密売者や警官隊の銃撃戦は日常茶飯事だった。
三歳で父親を亡くし、母親も病気という家庭に育ったタマラ選手が陸上の世界に飛び込んだきっかけは、八歳の時の体育教師との出会いだ。
彼女の非凡な才能に気付いた教師は早速、リオ市軍警施設内のスポーツセンターに推薦。最初の競技大会で走り幅跳び優勝を遂げたタマラ選手に、他の種目もこなす能力ありと見たコーチのオルマンジーノ・バルセロス氏は、彼女を七種競技に進ませた。
七種競技は、走り高跳び、砲丸投げ、一〇〇米障害など、走跳投七種目の成績で順位を争うもの。〇七年の南米学生選手権では他国選手の妨害のため最終競技で転倒して四位だったが、〇八年大会では優勝している。
母親の収入も乏しく、ブラジル陸上競技連盟を通し連邦貯蓄銀行が支給する奨学金と、コーチからの自腹での支援が家計を支える彼女には、オリンピック出場と大学を出て教師になることが夢だ。
家庭が貧しく、アイスクリーム売りをして家計を支えていた三段跳びのジャデウ・グレゴリオ選手の半生を、自分と重ねて尊敬するタマラ選手。その他、男子八種四位のヴィクトル・サントス選手、同一一〇米障害八位のジェアン・フランシーネ・ダ・シウヴァ選手、女子砲丸投げ七位のリヴィア・アヴァンシニ選手といった世界レベル選手を擁するブラジル。若き一三人の世界への挑戦が始まる。