ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

アラグアイア=DNA鑑定に成功=残る遺体も身許判明見込み

ニッケイ新聞 2009年7月9日付け

 アラグアイアで二〇〇四年発見された遺体をDNA方式で鑑定したサンパウロ市ゲノム(生命工学)研究所のミリアン・L・アウヴェス鑑定士は、遺体の一つは一九七二年のゲリラ掃討作戦で射殺されたベルグソン・G・ファリア氏(PCdoB=ブラジル共産党)のものであることを確認とヴァヌッチ人権相が七日に発表したことを八日付けエスタード紙が報じた。
 遺体は七日、セアラー州に居住する遺族に手渡す手続が行われた。これまで人骨の確認には、ジョビン国防相とヴァヌッチ人権相の間で政治的な論争が繰り返されたが、同鑑定士のミトコンドリア分析に基づくDNA鑑定書で決着を見た。
 政府内では、二〇〇五年のX2報告書に基づき法務省の戸棚に保管されている十二人分の人骨を巡って、意見が二分していた。しかし、DNA鑑定によって身許確認が可能になったようだ。
 政府は九〇年代からこれまで、三回にわたってアラグアイアで遺体の発掘調査を行ったが、身許確認で頓挫していた。これまで判明したのは、ほぼ全骨が揃った二人のみ。他はバラバラで、鑑定が困難であった。
 保管中の遺体にも、DNA構造に基づく個人識別を行う。また土壌から抽出される微量の体液や血小板、毛髪などには、別の鑑定法もある。
 七日にパラー州マナバーに集まった国防省の遺体捜索隊三十三人は、八日からパラー州南部やトカンチンス州北部のアラグアイア地方での捜索を開始する。総数六十七人が失踪したとされる同地方では、軍基地もあったトカンチンス州シャンボイアーを始め、サンミゲル墓地や拷問や処刑も行われたカーザ・アズール基地があったマラバーなどを探索する。
 マラバーのゲリラ拠点には現在、マラバー裁判所が建築され、当時の形跡を残す地盤は抹消された。当時の記録を残す、レポートや刊行物で記録を調べるしかない。
 陸軍の野戦基地があったカーザ・アズールは、今もそのままで裁判所の前方にある。ゲリラは、この付近の国道脇や川岸で処刑されたようだ。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button