ニッケイ新聞 2009年7月11日付け
麻生太郎首相とルーラ伯大統領が九日、イタリア中部ラクイラで開催された主要国首脳会議(G8ラクイラ・サミット)の会場で会談した。両首脳の会談は三回目。デジタルTV、高速鉄道や在日ブラジル人問題など最近の両国間の案件に加え、日伯が連携してアフリカの農業開発に協力していく方向性を確認した。
麻生・ルーラ両首脳の会談は、昨年十一月にワシントンで開かれた金融・世界経済に関する首脳会合、今年五月の電話会談に続いて三回目。
外務省広報によれば、今回の会談は現地時間の九日午後六時四十五分から三十分間行なわれた。
両首脳は、昨年の日本・ブラジル交流年を経て両国関係が近年で最も良好な状態にあるとし、今後は二国間に加え国際社会における戦略的パートナーとしても、ますます関係を進展させていくことで一致した。
五月の電話会談でも話題に上ったデジタルTV日伯方式については、今後も南米諸国への普及に連携して取組んで行く方針を確認。
リオ―サンパウロ市間の高速鉄道計画については麻生首相が新幹線の優秀性や運用のための技術支援について説明した。ルーラ大統領から高い評価を受けたという。
世界不況にともない雇用・生活の困難に直面している在日ブラジル人の問題では、ルーラ大統領が日本政府の支援策に対し感謝の意を表明。また、在日ブラジル人やブラジルで活動する日本企業などのため、両国間の社会保障協定締結交渉を開始することで一致した。
このほか、世界の食料安全保障について、両国が連携してアフリカでの農業開発支援を行なうことになった。セラード開発での実績を生かし、まずは農業の潜在力の高いモザンビークでの取組を進めていくという。ルーラ大統領からは、ブラジルとしてこの協力に共に取組んでいけることを大変有意義と考えているとの発言があった。