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ブラジルに外資が戻る=経済混迷の中、消費力に期待

ニッケイ新聞 2009年7月14日付け

 多国籍企業協会(Sobeet)は十二日、景気が低迷し経済活動が萎縮する中、ブラジル市場の消費力に国際金融の期待が集まっていると発表したことを十三日付けエスタード紙が報じた。
 外資が今年一月から五月までに、ブラジルの商工業や農業、サービス業などに対し過去十年で二番目の規模の百十二億ドルを直接投資していることが判明した。これは公社の民営化を行った、一九九九年同期の外資流入額に次ぐもの。
 予想では二〇〇九年、外資の直接投資は年間で二百五十億ドルに達するものと中央銀行は見ている。二〇〇八年の四百五十億ドルには及ばないが、戦後の一九四七年から見ると、二〇〇九年は恐慌で翻弄される中、六番目の投資予想だ。
 二〇〇九年始めは、多国籍企業が本国で吹き荒れる金融危機のため、本店向け送金に精を出し、外資の流入は停止した。危機が底打ちしたため、ブラジル市場の有望性に目を向け始めたようだ。
 長い目で見れば、先進国の投資は利益先細り。反面、ブラジルは希望が持てる。韓国のLGなどは、当地に本国に次ぐ規模の力を入れている。イタリアのピレリも二億ドルを投資し、ブラジルの三工場を拡張する本格進出の計画だ。
 数年前までラテン・アメリカの雄は、ブラジルとメキシコであった。今はブラジルがお株を奪った。メキシコ企業も、投資の風がブラジルに吹いていることを認める。米一辺倒であったメキシコも、ブラジルに目を向け始めた。
 金融危機の影響が、他国に比較して軽微であったことが投資家らの大きな関心のようだ。金融危機を機に対伯投資を増やした国は、オランダとドイツ。減らしたのは米国とルクセンブルグ、日本。
 金融危機が、直接投資の流れを変えた。昨年同期の外資は鉱物資源に向かったが、今年は外資の三分の一が自動車へ向けられた。自動車と金属製品が、ブラジル市場を牽引した。ブラジル市場と欧米市場は、市場の潜在能力が異なるようだ。