ニッケイ新聞 2009年7月14日付け
【共同】岐阜県は今月下旬から、県内七市町の定住ブラジル人千五百人を対象とした生活実態の調査に乗り出す。子育て環境や県の融資制度の評判を聴き、来年度予算に反映させるのが狙い。調査員には失業中のブラジル人を採用する。県国際課は「これほど大規模な調査は全国初ではないか。失業対策と政策研究の一石二鳥だ」と話している。
調査は九月末まで。ブラジル人世帯を戸別訪問して経済状況や教育環境、社会保険の加入状況など約四十項目を、調査員二十人でヒアリングする。
採用された日系三世、上原ジョンさん(45)は「失業保険が来月切れるので助かる」と喜ぶ。妻や息子らと五人暮らしで、一月に自動車部品工場を解雇されたが、次の職場はなかなか見つからないという。
調査と研修を請け負う同県美濃加茂市の民間非営利団体(NPO)「ブラジル友の会」の金城エジウソンさん(47)は「政策に反映される意義を伝えて話を引き出したい」と強調。地域社会と円滑な関係を築くきっかけとなることも期待する。
岐阜県には五月末現在で約一万八千人のブラジル人が定住し、県人口に占める比率では静岡県や三重県などに次ぎ全国第五位。自動車産業を中心とした製造業労働者が多いが、昨年末からの景気後退で失業者が増えている。