ニッケイ新聞 2009年7月18日付け
二〇一四年開通予定でリオからサンパウロ市、カンピーナスを結ぶ高速鉄道は、飛行機より速くて安い交通手段になりそうだ。
十七日付伯字紙によれば、高速鉄道によるリオ~サンパウロ市間の所要予想時間は九三分で、飛行機の一一〇分より短い。また、予想料金は、エコノミークラス一五〇~二二五レアル、エグゼクティブクラス二五〇~三二五レアルで、バスよりは高いものの、一八〇~四〇〇レアルの飛行機より安い。
これらの数字は、英国のHalcrow社が算定したものだが、十六日に高速鉄道に関する報告を行った国家陸路輸送局(ANTT)のベルナルド・フィゲレード局長は、「日本でも東京~大阪間の旅行は鉄道に頼るようになったのと同じ」と喜びの色を隠せない。
ただし、開通までには大きな障壁があるのも確かで、PAC(経済活性化計画)で見積もられていた一一〇億ドルを57・4%も上回る、三四六億二六〇〇万レアルの見積もりも報告された。
内訳は、土木工事二四五億八三〇〇万レアル、用地買収と社会環境対策三八億九四〇〇万レアル、鉄道システムと設備取得三四億九〇〇万レアル、鉄道資材(車両)二七億三九〇〇万レアル。
同局長によれば、見積もり額の変更は、掘削が必要となるトンネルとアララース丘陵の上り坂の存在が原因だという。
PAC起草時には、具体的な地勢まで考慮されていなかったという事だが、十一日付フォーリャ紙によれば、トンネルはヅットラとバンデイランテス両街道沿いを走るもので、一六~二五キロのトンネルが必要となる。
また、サンパウロ市内の駅はカンポ・デ・マルテ地下に建設予定。大サンパウロ市圏内にはグアルーリョスのクンビッカ駅も建設予定で、こちらは地上駅となる。
サンパウロ市とカンピーナスのヴィラコッポス駅間の所要時間は四二分と見られているが、トンネル工事などで、民間資金のみとの資金計画変更が余儀なくされる他、環境許可取得や建設用地取得が遅れればサッカーのワールド・カップ(W杯)前開通も難しくなりそうだ。
政府としては、今回の報告後も、入札公示を八月に行い、二〇一〇年初頭に工事開始、二〇一四年に操業開始の線を崩していない。