ニッケイ新聞 2009年7月18日付け
保健省は十六日、国外で新型インフルエンザに感染した帰国者と接触がなかった感染者が続出していることで、ウイルスA・H1N1が国内全域に侵入していることを警告と十七日付けエスタード紙が報じた。
オザスコ市で六月三十日に死亡した少女の感染経路は未だに不明。ボトゥカトゥ市で今月十日に死亡した青年も同様だ。十六日に真性と確認されて死亡、または死亡後に真性と確認された死者は七人の内、六人は国内感染で、感染経路も特定されていない。新型インフルエンザによる死者は計十一人となった。
これでブラジルは、米国、メキシコ、カナダ、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、英国に次ぎ、世界で八番目に国内でのウイルス蔓延を認めた国となった。
事態が悪化したわけではないが、病原菌の認識基準が改められたとテンポロン保健相が発表した。認識基準が変わっても、同病原菌の管理基準に変化はないという。
死者三人が出たサンパウロ州はもちろん、チリやアルゼンチンと交流が激しく、死者七人が出た南リオ・グランデ州は要留意州とされる。同州は煩雑な人的交流により、感染経路が掴めない患者が多数存在する可能性があると保健省は見ている。
感染し易い虚弱体質の人は、チリやアルゼンチンへの旅行を控えるよう保健相が進言。ブラジルとアルゼンチンでは感染の判断基準が異なるので、実際の感染者数は発表よりかなり多いと保健省は見ている。
これまで保健省の対応に批判があったが、治療は内科的診断に従い、科学的検査の結果のみで対応しない方針。世界的に拡大した病気の克服は長期の取組みとなるので、医薬品と経費の厳格な管理が必要になってくる。
軽度の感染者で検査も除外された場合は統計に含めないので、公式発表は患者実数より少ない。それでも高熱と喉の炎症、せき、筋肉痛の症状が起きたら医師や保健所の診断を勧めると忠告。