ニッケイ新聞 2009年7月18日付け
蒟蒻の産地は群馬や茨城であり、故・小渕恵三元首相も「生産者を守れ」と蒟蒻協会かの会長さんを務め、安い中国産に抵抗したものだが、蒟蒻が好きな県民となると話はまったく別である。芋煮会ですっかり有名になった蔵王の麓・山形県が日本一なのである。あの里芋と米沢牛を煮る鍋にも手で千切った蒟蒻は欠かせない▼きょうから始まる「日本祭」には、その出羽の国から「玉蒟蒻」が出品される。串に刺して甘辛く煮込んだものらしいけれどもーこれは江戸時代からのふる里の味であって噛むときの歯応えが堪らないらしい。一方、南の国・沖縄は名物の「ヤギ汁」で勝負と懸命だそうな。世話役だった屋比久孟清さんによると、これをどんぶり一杯食べれば、どんな弱い男でも勇気凛々―とか呵呵大笑したものである▼こんな各地の食文化巡りは楽しくも奥深い。近頃はトヨタやホンダの車も展示されるし、太鼓や踊りの披露もある。日本から飛んで来る中平マリコが「五木の子守り唄」など懐かしい歌で観客を酔わせコロニア歌手も熱唱しファンを喜ばせる。「辛し蓮根」や「薩摩揚げ」を肴に秋田の銘酒「高清水」で微醺し、「おらが県」を自慢しての談論風発もよしである▼今年の「日本祭」のテーマは「環境保護年」でサンパウロ市が、ビンや空き缶などのリサイクル運動について指導し、緑や空気を大切にしようの語りかけを繰り広げるという。日系では日本の「緑の羽」募金を祭りの広場で実施する。私たちの町や森を綺麗な緑で覆い尽くそうの運動であり是非ともみんなが協力してほしい。 (遯)