ニッケイ新聞 2009年7月21日付け
十七日午後、サンパウロ市のコンゴーニャス空港内と事故現場跡で、二年前に起きたTAM機の事故被害者追悼集会が持たれた。記念館建設と約束された土地は今も何も建っておらず、一九九人の被害者への賠償問題なども完全解決には至っていない。何に付け、動きが遅いブラジルではあるが…。
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パラナ州クリチバ市の労働裁判所控訴院判事に、五〇歳で全盲のリカルド・タデウ・ダ・フォンセッカ氏が任命された。出生時のトラブルで視力の一部を失い、サンパウロ総合大学在学中に残る視力も失いながら、周囲の協力も得て優秀な成績で卒業したが、視覚障害のため就職には苦労した。弁護士として活動し始め、九一年からサンパウロ州カンピーナス市、〇一年からはパラナ州クリチバ市で検察官として奉職。パラナ連邦大学で博士号取得後、二大学の客員教授も勤める。全国唯一の全盲検察官で、初の視覚障害を持つ判事でもある同氏の活躍に、励まされる人も多いことだろう。
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サンパウロ市セントロのカンポス・エリゼオス地区のアパートで、二十日の昼過ぎに火災が発生。火元となった六階に住んでいた男性が、屋外の物干し綱に掴まって難を逃れようとしたが墜落し死亡した外、六人がケガをして手当てを受けた。ファヴェーラでの火事の報道が減ったと思っていた矢先の火事。焼け出された人々は、寒空の下、どこで過ごす?
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新型インフルエンザで死者が出た地域では、保健所に押しかける人が急増し、同疾患指定病院以外でも長い列。季節性の風邪の死者は〇六年に七万七九六四人記録されており、新型インフルエンザの致死率は風邪並みといわれても気になる庶民の心情を反映している。