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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年7月21日付け

 小泉純一郎元首相は「自民党をぶっ壊す」の掛け声で派閥潰しの姿勢を鮮明にし旧橋本派などの政治力をほぼ全滅させた。今太閤の田中角栄氏の「数は力なり」の信念は竹下、小渕、橋本各氏らに引継がれ「利権政治」が蔓延っていたが、小泉元首相は、この政界の悪弊に立ち向い奈落の底に追いやった▼事実、自民党では派閥の力が強かった。領袖の命令は絶対であり、メンバーはこれに従い政策の勉強をして力をつけ永田町で重きをなしてゆく。ところがー小泉元首相の改革路線が効きすぎたのか、今や派閥は単なる団体に堕したの印象が濃い。小泉氏も加入の町村派(重鎮は森喜朗氏)もが、「反麻生」の騒乱で分裂しかねなような混乱なのである▼麻生首相の後見人とされる森氏と政権を支える町村信孝代表もだし、細田幹事長も町村派である。ところが、派内には中川秀直元幹事長ら反主流派が多い。町村派89人のうち30人が首相攻撃なのだからー幹部らも頭が痛い。中川氏の「反乱」については、森氏が厳しく叱ったこともあるが、効果はゼロ。もしかすると、自民党の内乱になりかねない▼解散と選挙が迫っている今、こんなていたらくでは戦う前から敗れているようなものである。片や民主党の鳩山代表は、もう天下を取った気分なのか、財務省の事務次官を呼び「政権につけば予算は官邸主導で」と伝えたそうである。まあ、自民党も細川護煕氏に政権を奪われたこともあるし、55年の創立から2度目の野党も覚悟しているのだろうが、それにしても余りの迷走ぶりである。(遯)