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為替が危機前水準に=外貨準備は2千億R$あれば

ニッケイ新聞 2009年7月22日付け

 ドル通貨は二十日、金融危機前水準の一・九〇レアル台へ戻ったと二十一日付けエスタード紙が報じた。これでリーマン・ブラザース銀行の破綻が起きた〇八年九月十五日以来、初めて元の鞘に戻ったといえそうだ。
 金融危機表面化直前の九月十二日のドルは一・七八レアルだったが、それからレアル通貨は大きく振幅。〇九年には対ドルで二一・四七%上げ、世界通貨の中で最も上げ幅の大きい通貨となった。
 それには、二つの理由があると思われる。国際金融向けに三十億ドル供出後のドル通貨の国際的下落と、ブラジルの貿易収支が予想を上回ったこと。七月第三週の貿易黒字は九億ドルに上り、〇九年は百六十一億ドルに達すると予想される。
 レアル通貨の高騰は、リスクの減少を意味し、外資の流れに弾みをつける。流通市場にも影響を及ぼし、コモディティの活況につながる。
 中央銀行は、レアル高騰の波に乗って外貨準備に精を出す。現在二千百億ドルあるが、さらに山積みする。中銀の為替介入は変動幅を抑えたことで正解であったが、外貨準備高から見るとムダ使いをしたようだ。
 外貨準備高二千億ドルは、百年に一回という恐慌を乗り越えるに十分であることが証明された。だから外貨準備をやたらに積み上げるのは、考えもの。為替介入に使った資金は、高価なコストがかかっている金だ。
 政府の経常収支は、まだ赤字だ。公共債務の支払い金利を入れると、火の車経済なのだ。為替介入に使った金は、借金した金。公債に払う配当額は、外貨準備高の利子よりも大きい。
 レアル通貨を長い目で見ると、浮沈が激しい。最高は、〇八年七月三十一日の一・五六レアル。最低は、同年十二月八日の二・五〇レアル。三七・七%も下落した。その後レアル通貨は三一・八九%高騰したが、大船とはいえない。

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