ニッケイ新聞 2009年7月23日付け
インターネット販売の登場により販売の概念が変わり、これまでの生産と販売の分業化が崩れ、工場直販の消費者密着システムが現実化しつつあると二十二日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。同システムを導入したのは、ブラステンピやLG、サムスン、ソニー、イタウテック、Dell、ボチカーリオ、ナトゥーラなど。性能確認が不要な製品は、小売り業も不要になると懸念されている。小売り業をメーカーが代役し、直販システムの設置を検討している。
メーカーの直販戦略には、金融危機が引起こした製造業の経営不振が潜在的恐怖になっているという見方もある。これも時代現象のようだ。
国外には直販店もあるサムスンの国内直営店は、販売目的ではなく、同社製品間の相互関係を認識してもらうため。技術革新が生み出した新製品による、新しいビジネスの展開が目的という。
携帯電話の分野では、工場直販が熾烈な商戦を展開している。LGは、ヴァーチャル小売り店を設置した。全製品の各種機能がわかるLGリンクを開設し、ヴァーチャルでの売上げ増が、必ず起きると期待している。
電子商取引のe―bitは、小売り価格を巡って小売り商とメーカーの衝突を懸念している。小売り店がメーカーに、消費者の取り込み方を教えたのだ。インターネットの登場で、従来の小売り店が不要になったのも時代の趨勢といえそうだ。
しかし、消費者が購入前に商品に触れ、性能を確かめたいという要望は不変だから、インターネットが小売り店の敵になることはないという見方もある。インターネットが強いのは、書籍やDVDなどではないか。
メーカーが購入者クラブを設立し、銘柄品を購入するため欧米の本場まで行かなくてもよいという試みもある。これを始めたのは、Calvin KleinやMarc Jacobs、Dior、Yves Saint Laurentなど。サイトを開けば、七〇%割引もある。
これはクラブに加入すると、ちょっとリッチ気分になれるので流行している。耐久消費財の購入者クラブは昨年、前年度比三〇%増の八十二億レアルを売上げた。
一方、衣料品メーカー数社の製品を一括して取り扱うスーペルエスクルシーボは周期的な四日間の限定販売だが、世界的な銘柄品をサイト上で七〇%以下の割引購入ができる。ここは紹介人を要する会員制で、三十五歳以下の女性に人気だ。
これはEU(欧州連合)でヒットしたもので、女性の上流意識をくすぐったもの。高級洋品店の売れ残りや在庫一掃品を、特価販売で売りつけたに過ぎない。恋人の日など飛ぶように売れるようだ。