ニッケイ新聞 2009年7月23日付け
日本政府の二〇〇九年春の叙勲で旭日小綬章を受章した川田敏之さん(マナウス市在住、79、長崎県)への叙勲伝達式が十四日夜、在マナウス総領事公邸で行われた。式では川田氏の功績披露に続き、柴﨑二郎総領事から勲章、勲記が授与された。
式には川田さんの家族や錦戸健西部アマゾン日伯協会会長、山岸照明アマゾナス日系商工会議所相談役、中西雅道マナウス日本人学校校長ら、関係者二十三人が出席した。
柴﨑総領事は「川田さんの活躍はマナウス日系住民の周知の事実であり、旭日小綬章という輝かしい勲章を得て、日系社会の発展に今後ますます貢献されることを祈念する」と祝辞を述べた。
受章した川田さんは挨拶の中で、「本年はアマゾン移住八十周年であり、自分も移住五十年を迎える。終戦、農地改革により農地を失い、移住してきて荒波を乗り越えてきたが、今回の受章でようやく戦争が終わったような気がする。今後も自分に与えられた役目を全うできるよう努めていきたい」と謝辞を述べた。
アクレ州キナリー移住地に入植した川田さんは、採血や一次治療の他、時には縫合等外科的治療も行い、日本人移住者の健康維持に貢献した。その後ロンドニア州トレーゼ・デ・セテンブロ移住地における農業組合活動を推進、生産向上や所得倍増に尽力した。
アマゾナス州マナウス市では農産物の流通を行い、マナウスで暮らす住民達の食料事情の改善を図った。西部アマゾン日伯協会では日伯診療所の開設、医療機器の無償供与に携わり、在留邦人・移住者に対する医療環境の改善に寄与した。
ニッケイ新聞の取材に対して川田さんは「戦時中に育ち、森林では開拓戦争だった。人生から〃戦〃という字が離れなかった。日本国の為に頑張ってきて、今日、皇陛下から勲章をいただけて感無量です」と感想を語った。