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メルコスル首脳会議=実り少ない20年の決算=波乱含みの反省会=小加盟国がうっ憤表明=足並みが揃わない4カ国

ニッケイ新聞 2009年7月24日付け

 約二十年の歳月を経たメルコスル協定は、当初期待した経済的及び政治的成果もないまま、アスンシオンでの首脳会議を始めると二十三日付けEFEが報じた。協定締結の地アスンシオンでの会議は、二十三、二十四日の二日間行われる。メルコスルはブラジルなど四カ国で一九九一年、発足して以来紆余曲折の連続であった。弱小加盟国ウルグアイやパラグアイがボリビアを迎えて存在強化を試みるUrupabol案の採択が問われそうだ。

 今回の第三十七回メルコスル首脳会議は、準加盟国のボリビアやチリ、エクアドル、正式加盟準備中のベネズエラの首脳も加わり、共通関税を設け地域統合を図ろうとする会議だ。共通関税は切実な重要案件であるが、合意が困難でメルコスルの泣き所となっている。
 共通関税は、域内と域外の二重関税を廃止するものであったが、議長国ウルグアイに一任ということで保留している。
 パラグアイは二重関税廃止に反対の立場を取った。パラグアイは加盟国の中で唯一の海のない国であるため、他国の代替輸入による税収がない国だというのが理由。
 パラグアイのジオニジオ・ボルダ財務相は、二重関税廃止の代替案に固執している。同額の代替税が同国へ入らないなら、同案に合意できないと硬く拒んでいる。
 メルコスルの低迷期、ボルダ財務相が妙な提案をした。パラグアイやウルグアイの企業が、ブラジルやアルゼンチンへの製品輸出を阻止された場合、伯亜両国は弁償することをメルコスル協定に盛り込むというもの。だが、実現しなかった。
 パラグアイは、ブラジルが提案した人口数に応じた発言権の設定案を拒否した。パラグアイは、メルコスル司法委員会が認める弱小国の権利保障をもとに条件つき賛成をすると主張した。
 同司法委員会なくしてメルコスルの法的効力はない。同保証なくして何の決定も、実施もないとパラグアイのカンプザノ外相は主張した。
 メルコスル議会は、モンテビデオにある。加盟各国から十八人がメルコスル議員として出席する。メルコスル議員は、各国の選挙によって投票で選出される。
 バイア州サウイーペでの首脳会議でパラグアイ大統領が「メルコスルは、有名無実の団体」と糾弾したことをパラグアイの外相が挙げ、経済と政治で実のある団体に育てるよう要求した。
 パラグアイは、今回の首脳会議でのUrupabol案の実現に賭けている。同案はエネルギーと運輸、サービスでメルコスルに大きく貢献できるというのだ。