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パラグアイ=イタイプ、最終合意へ=従前の3倍価格で決着か

ニッケイ新聞 2009年7月25日付け

 イタイプ発電所の電力料金を巡ってブラジルとパラグアイの代表は二十三日、両国大統領の裁可を以って最終合意に至る見込みと発表したと二十四日付けエスタード紙が報じた。
 最も注目された合意事項は、パラグアイ政府へもブラジルの電力市場でイタイプ電力の販売権が認められたこと。販売は、エレトロブラスの仲介を経ずに行える。
 さらにブラジルが支払う電力価格は、これまでの三倍に当たる年三億六千万ドルへ調整されると、同発電所のパラグアイ側責任者が発表した。
 両国はチームを結成し、百二十日以内に電力の供給率と市場への参入日程を盛り込んだ申請書を作成し、パラグアイ電力公社に提出する。
 ブラジル側の合意包括案には、二カ国基金の創設とイタイプからアスンシオンまでの送電線架設への融資四億五千万ドルも含める。
 パラグアイ代表の意向では、ブラジルの電力市場へ三百メガワットまたは毎時二千ギガワット供給で参入を考えている。これは同発電所総電力の二%に相当する。
 両国の大統領は二十五日、同件で落ち合い、十一カ月にわたった交渉が合意に至ったとする槌を叩く。しかし、鉱動省高官は合意に不満の意を表した。ブラジルはメルコスルで、高い代価を払うことになると述べた。
 ルーラ大統領の意向は、ブラジルの電力消費者への料金値上げを来さず、ブラジルとパラグアイ両国が協調できることが重要だとした。パラグアイは、エネルギー主権を貫いたことで政治的に得るものが大きい。
 ルゴ・パラグアイ大統領は「現実として得たものは少ない。チリやアルゼンチンなどへ電力を供給できるチャンスを見逃して、ブラジルへ安価に売り続ける」という。
 それでも、パラグアイにとって、現在は毎時メガワット当り二・八〇ドルの収入が三倍になる。エレトロブラスは二〇〇八年、イタイプ発電所のパラグアイ分電力買取で十五億ドルを支払った。