ニッケイ新聞 2009年7月25日付け
「早朝から野良仕事でへとへと。でも軍隊あがりの父には逆らえませんでした」。一九二九年、二歳で渡伯した第一回アマゾン移民の山田元さんの貴重な講演を聞いた。
ジャングル開拓での「へとへと」は、記者の想像をはるかに越える。そんな体に鞭打ち、夜は必ず一時間勉強したという。「『二宮金次郎は薪を背負って勉強したんだ』と叱咤されましてね」。
「物事にはぴちっとした人だった」と父親のことを表する。その背中を見て育った山田さんも然り、そして偉ぶらない。「こういう方はもうどこにも見られないよね」―ある来場者の言葉に頷き頭が下がる思いだった。
不屈のアマゾン移民精神を支えたのは、教育が担った部分が大きい。後世に継承し続けて欲しいことは「父母の苦労」。山田さんの真っ直ぐな瞳が忘れられない。(親)