問題未解決で見切り発車=貸切りバス乗入れ規制開始=初日の混乱いつまで続く?
ニッケイ新聞 2009年7月28日付け
サンパウロ市では二十七日、利用者やバス会社による抗議行動継続など、問題未解決のまま、通勤用送迎バスなどの貸切りバス乗り入れ規制が始まった。
規制対象となるのは民間の大型、小型バスやワゴン車で、ブラス区などを除くセントロの七〇平方キロの区域は、月曜から金曜の五時から二一時が乗り入れ禁止となる。
二十七日付伯字紙によれば、サンパウロ市やその周辺を走る貸切りバスは一日五五〇〇台。内、規制区域を走る一〇〇〇~一三〇〇台のバス利用者四万四〇〇〇人は、市指定の一四カ所の停留所かチラデンテス高速バスのサコマン駅で、公共バスや地下鉄、都電(CPTM)に乗換え、または徒歩で移動することになる。
セントロの渋滞緩和のための処置だが、二十七日は、乗換え客が殺到した地下鉄などで、長蛇の列が出来た他、一四カ所の停留所付近で、バスの列が他の車の交通を阻害するなどの混乱も発生。
二十七日付G1サイトによれば、職場まで着くのに四五分余分にかかった、約一キロ歩かなければならなくなった、職場まで行くバスに乗り換えたくても市指定の停留所付近を通らないなど、利用者の苦情も様々だ。
また、停留所まで夜道を歩く必要が生じたりすることで、貸切りバス利用者を狙う引ったくりや強盗発生など、治安面での懸念材料も多い。
職場近くまで直行できた快適さを失い、治安にも不安を抱えるバス利用者の中には、やはり自家用車利用となるだろうという人もいる他、バス会社の経営や雇用維持も問題となっており、規制開始後の動向は、暫くは観察が必要な状態だ。
また、ホテル利用客や博物館などの見学者、会議やセミナー出席者の送迎など、特定の目的のバス約四五〇台については市も規制区域内の運行を認めたため、二十七日も規制免除を願う申請書が次々に送られている。
三ブロックにもわたってバスが並び、停留所付近で二〇分以上立ち往生したバスや乗用車、規制区域外郭部分の道路の運行車数が増えてより渋滞など、混乱が目に付いた初日。随所に配置された約六〇〇人の交通局職員らも、最初の週は罰金適用より運転手の指導や誘導を優先するという。