ニッケイ新聞 2009年7月30日付け
「楽しみが苦しみになってますよ」ー。そう言いながらも、毎日パソコンに笑顔で向かうのは、安永信一さん(61、三世)。
今年九月六日にアラサツーバで行なわれるノロエステ連合日伯文化協会の創立五十周年式典に向け、刊行を進める記念史の編纂に追われる毎日を過ごしている。
日伯両語で三百五十ページ、二千部を予定。連合傘下全三十団体の歴史や情報を盛り込む。
二年ほど前から、各文協に連絡、原稿の依頼や写真提供を呼びかけてきた。返答がない文協へは直接出向き、その場で写真をスキャナーするなど、まさに足で稼いだ記念史となっている。
歴史や歴代会長らの紹介が多いものの、内容は各文協に任せたというから、それぞれの味が出た記念史になりそうだ。
安永さんが腐心するのは、漢字に振り仮名をつける作業。自身で一つ一つルビを振っていく。
「漢字だと読めないけど、これだと三、四世でも読めるよね」。自身が三世だが、「次世代に日本語を継承したい」という思いは強い。
翻訳、校正作業も一人でこなしてきた。
「プロに任せたら高いからね。勉強だと思ってやっています」とこともなげだ。
同連合の記念史としては、移民八十五年を記念した『ノロエステ記念史』がある。
今回の記念史の特色は、ノロエステ地方の日系議員・市長などのリスト、宗教・スポーツの歴史に加え、「各文協が行なった百周年関連の催しの写真が入ること」と安永さんは胸を張る。
ノロエステ地方の〃移民百周年史〃の顔も持つ、ノロエステ連合の半世紀を伝える記念史の完成は間近だ。