ニッケイ新聞 2009年8月1日付け
サンパウロ市では、一日と八日に、新しいタイプの市内観光ツアーが行われると七月三十一日付エスタード紙が報じた。
〃サンパウロ市の片隅の興味深い空間〃巡りの一つとして、市内各所のカタコンベを訪ねて回るというツアー立案者は、設計家のマルシオ・マッツァ氏。
カタコンベという言葉は、〃地下の墓所〃という意味で、死者を葬る為に使われた洞窟、岩屋や地下の洞穴までを指す。
サントアマーロのボルバ・ガット像などで知られるジュリオ・ゲーラ氏の作品巡りなど、ここ二年で、二〇〇〇人参加の一五企画を提供してきた同氏の新企画は、セントロのパチオ・ド・コレージオを起点に、〃死者の空間〃というテーマで、歴史的な教会や建造物を巡るものだ。
パチオ・ド・コレージオでは、一五五四年に、インディオの教化と子弟の教育のためのサンパウロ学校を設立した、イエズス会のジョゼ・デ・アンシエッタ神父の歴史的遺物などを見学。
その後、リベルダーデのサンタクルース・ドス・エンフォルカードス教会や昔の墓地を巡り、カルモ街のボア・モルテ教会へ。一九世紀建造のこの教会は、ある修道女会が、亡くなった修道女達の平安を願って建てたものだ。
その他に欠かせないのはセーの大聖堂で、ここでは、聖職者らの遺体と共に、アンシエッタ神父やマヌエル・ダ・ノブレガ神父らによるサンパウロ市建設のおりに協力した先住民リーダー、チビリサの遺体も葬られている地下の納骨堂などを見学する。
一日分はあっという間に定員四〇人が埋り、八日に再ツアーを組む事になったカタコンベ巡り。ツアーには、サンパウロ市観光ガイドとしても使える「徒歩で訪ねるサンパウロ市の歴史案内10(Dez Roteiros Históricos a Pé em São Paulo)」の著者の一人で、サンパウロ総合大学で建築工学を修めた設計家のレナト・シンバリスタ氏が同行する。
ローマのサン・セバスティアーノ・フォーリ・レ・ムーラ教会のファサードなど、ヨーロッパではお馴染みの〃死者の空間〃巡りも、サンパウロ市では新企画。これまで知らなかったサンパウロ市の顔を知る機会となり得る同ツアーの問い合わせは、11・3078・7658へ。