ニッケイ新聞 2009年8月4日付け
「日出ずる国のシンボル桜をブラジルに咲かせたい」――。百周年記念プロジェクト「さくら」を昨年から行っているブラジル日系協会(京野吉男会長)は、七月二十五日、南マット・グロッソ州都カンポ・グランデ市の空軍基地、日伯市民共生センター、カンポ・グランデ日伯文化体育協会の三カ所に桜の植樹を行った。十本の沖縄桜は四年後に花を咲かせる見込みだ。
サンパウロから出向いた京野会長(予備陸軍大佐)、遠藤マリオ副会長(予備空軍大佐)、歌手中平マリコさんなど十二人は、同地文協の知花幸重ベルナルド会長、大坪明州議ら多くの関係者の出迎えを受けた。
遠藤副会長(63、二世)が十四歳から四年間、また空軍時代の七〇年代に少佐として七年間過ごしたという思い出の地。少年時代にアルバイトをしたという薬局の主人も顔を見せ、懐かしそうに遠藤副会長と肩を叩き合っていた。
はじめに向かった空軍基地では、三本の苗が広々とした庭に植えられ、同席したレイナルド・アルファロメ・ジュニオル司令官は、「この地が選ばれ光栄。たくさん愛情を注ぎ大切に育てたい」と礼を述べた。
二カ所目は、市内にある山城興順日伯市民共生センター。昨年、百周年記念事業として日系社会が一丸となり、州政府の協力を得て開設に漕ぎつけた場所だ。
MS新聞など地元報道陣も多数集まり、ネルソン・トラッド・フィーリョ市長、州議三人をはじめ約八十人が一行を歓迎。琉球舞踊も披露され花を添えた。
市長は、「市民、州、国のために日本人が残した功績は大きく尊敬に値する。日出ずる国とブラジルの友情の証として桜が咲き、ますます絆を深めて行ければ」と述べ、京野会長らと堅い握手を交わした。
最後の植樹場所である文協では、集まった約四十人が見守る中、四本の桜が植えられ、記念プレートが除幕された。
「わざわざサンパウロから桜を届けてくれて大きな喜び。日系社会の横の絆を大事にし、日本人移民百一周年の証として、桜がこの地に綺麗に咲き誇ることを願ってやまない」と知花会長。
桜を届けた京野会長は「この桜と同じように、ますます日本文化が根を張り花を咲かせ、次世代に引き継がれて欲しい」と願いを込めて語った。
植樹を終えた一行は、仲里真常アセリノ運動部長の自宅で婦人ら手製の食事やシュラスコに舌鼓。「川の流れのように」や「さくらさくら」を歌う中平さんの歌声が冬空に高く響き、団欒のひとときを盛り上げた。
同プロジェクトはリベルダーデ文化援護協会、汎アメリカンブラジル日系人協会、ノーバ・バンデイランテ射撃協会が後援している。