ニッケイ新聞 2009年8月6日付け
〇八年十一月にブラジルに到着した英国からの再生資源ごみコンテナに、家庭や病院から出たごみも混入していた問題で、返却が決まったコンテナ満載の船が、五日にサントス港を出発した。
三日、五日付G1サイトによると、サントス港に四日夜入港した船は、三日に南大河州リオ・グランデ港を出航。サントス港で積み込むコンテナは四一個、九七〇トンというが、同船にはリオ・グランデ港で積み込んだコンテナ四〇個、七四〇トンも積まれている。
国際問題ともなった英国からの再生資源ごみ問題は、今年六月、送り返されたコンテナに、再生資源ごみと記載された申告書とは裏腹に、家庭ごみや病院から出た注射器などのごみ、毒性のある化学物質の入っていた容器まで混入している事が判明して問題化した。
ごみの輸入に関係した企業三社に対しては、二〇〇万レアルを超える罰金も科せられたが、英国側の輸出業者の中にはブラジル人経営の会社もあり、空いたスペースに押し込まれた玩具には、「洗ってから、貧しい子供達に上げて下さい」とポルトガル語でのメモも添えてあったという。
今回は、申告内容と実際が違っていた事などから問題化し、返却となった再生資源ごみだが、事件の背景には、再生資源ごみを原料として生産活動を行う企業向け原料供給が不十分で、年間一七万五五〇〇トンもの再生資源ごみを輸入しなければならないという、ブラジルのごみ流通問題がある。
七月二十六日付エスタード紙によれば、この数字は公式輸入量で、今年も既に四万七七〇〇トンのプラスチック、ガラス、紙、アルミなどを輸入。
一方、国内七八〇の資源再生業者は、原料不足のため、設備稼働率が三〇%にとどまっており、国内排出の再生可能なごみの内、再利用されているのは二二%のみ。
〇八年一月から今年にかけて輸入された二二万トン余りのごみにかけた経費は二億五七九〇万ドルに上る一方、捨てられた再生資源ごみの価値は一二〇億ドル。今回のごみ問題は、資源大国なのに自国の再生資源も活かしきれないブラジルでの、環境、経済、資源活用を包括したごみ対策の必要を改めて浮き彫りにした。