ニッケイ新聞 2009年8月6日付け
外国為替市場は四日、ドル通貨が〇・六五%さげ、一・八二三レアルと金融危機前の水準に下げ、年末には一・七〇レアル台に落ち着く見通しと五日付けエスタード紙が警告した。
経済評論家のミング氏は、レアル通貨が新興国中で最も強い通貨で、これから上がることはあっても下がることは想像し難いという。メリル・リンチは、レアル通貨が年末までに七%上がると顧客に知らせた。
重要なのは、レアルの高騰ではなくレアルの影響力だと同行が強調した。国際金融のなかでレアルは魅力ある通貨として、世界のドル通貨を引き寄せ、レアル通貨資産の購入に向わせる。
レアル通貨の過当評価は、ブラジルの生産部門に著しい損害をもたらす。国際競争力を弱め、輸入を促し、輸出が後退する。問題はそれだけではない。国際競争力と輸出後退が、為替の影響を受ける企業のインフラを崩壊させるのが恐ろしい。
ブラジル・コストの高いことは、重税国家として誰もが知っている。労働法による負担も大きい。非能率的な官僚機構、複雑な手続制度、汚職天国、人材育成のため多大な費用を要すること。これらは、レアル高のツケといえる。