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福祉センター落成間近=〃新生援協〃を解析=「中高年の交流の場に」

ニッケイ新聞 2009年8月7日付け

 サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)の創立五十周年記念事業「社会福祉センター」の落成式がいよいよ間近に迫った。十五日に五十周年記念式典と同時に開催し、年内には始動。コロニアから集まった浄財は目標金額の半分の百万レアルを超え、日本財団(笹川陽平会長)の助成金二十五万九千八百ドルを先月受給した。まさに移民百一周年の最大プロジェクトといえる。〃新生援協〃を、具志堅茂信事務局長に解説してもらった。

 戦後移住者と日系社会の救済事業福祉団体として誕生した援協。五十年後、時代も環境も様変わりし高齢化が著しい。援協の福祉事業は、新たな五十年を見据える。
 具志堅事務局長は、新しくなる援協を「中高年の交流の場にしたい」と語る。「住宅事情や社会環境が変化して、頼るところがない高齢者が増えている。触れ合えるところが必要になっている」
 丸々一階を福祉活動にあて、その中の「ふれあい室」は、外部と関わりを持つ機会がない高齢者を対象に開放。四年前から月一回、ボランティアらがレクレーションなどを行っている会合もこの場所で継続する。
 同階「理容室」では髪の毛のカットや化粧サービス、「読書室」、身体機能維持のための「体操室」、三十平米の台所では料理講習会を開く。「お年寄りはいろんなことを知っている。若い人が知らない料理など教えてもらいながら、ふれあいの時を持てるのでは」。
 二階に人間ドッグを導入。今までの診療所では特別週間を設けるのみだったが、日伯友好病院から設備を移し常時行う。日系進出企業に勤める駐在員などの利用獲得も狙う。
 「病気の早期発見・早期治療」で予防に繋げ、患者の苦しみを減らすことが目的だ。
 診療室、検査室、針治療室、理学療法室等になる地上階と一階は医療機具を一新する。
 「(七四年に)田中角栄元総理大臣に寄付され、今まで後生大事に使わせてもらっていた」という七〇年代のレントゲンを始め、超音波検査装置、胃カメラなど、最新機器が導入される。
 延べ床面積は五千九百三十一平米で、地上六階、地下三階は車八十台分の駐車場。具志堅事務局長は、「魂をしっかり入れないと何にもならない」と表情を引き締めていた。