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ルーラ大統領=「ウリベ大統領の説明に不満」=米コ同盟は不透明=コ領外の米軍活動が欠落=麻対なら米国の応援不要

ニッケイ新聞 2009年8月8日付け

 ルーラ大統領は六日、コロンビアのウリベ大統領から米駐留軍による七カ所の基地使用について説明を受けたが、納得できないと不満の意を表したことを七日付けエスタード紙が報じた。会議に同席したアモリン外相は、米軍がコロンビア領土外で作戦展開を執行することを恐れていると表明。ウリベ大統領の説明では、ブラジルが懸念する問題に対し一切の安全保障がなかった。同件は外相とジョビン国防相が四日、米安保担当補佐官のジョーンズ将軍にも口上した。

 〇八年三月にコロンビア軍がエクアドル領を侵犯したとき、米軍が国際条約で禁じられている化学兵器を提供し、Farc(コロンビア解放前線)の動きについて情報を詳細に把握していたことが判明していたうえに、今回の米コロンビア軍事協定の話が出て来たことが、南米諸国を余計に刺激したようだ。
 外相は、コロンビア領内の米軍駐留について、指定活動と行動範囲に関する軍事協定の見直しを行っていると述べた。同国の国家主権が、どのように扱われているのかを調べなおしているという。
 外相は、政府の懸念事項についてマスコミに内容を明かさなかった。しかし、米軍の指定活動と行動範囲が不透明で、コロンビア政府は何かを隠していると見ている。
 ブラジル政府の疑問払拭のため、米国とコロンビア両政府に、新たな質問状を提出する必要があるという。
 また、外相は、ルーラ大統領が麻薬対策の名目でいかなる作戦を展開するのかを指弾したという。米コ軍事協定はほぼ合意締結の段階にあるが、同協定が米軍の軍事介入可否について一切触れていないからだ。
 ルーラ大統領は、加盟国間の信頼を取り戻し、各国の疑問を明らかにするには、南米同盟(ウナスール)による安全保障確立が最善だと提言し、「中南米諸国は、外部の協力を求めず独自の力で麻薬対策に取り組むべきだ」と述べたという。
 ウリベ大統領はブラジリア空軍基地で、ブラジル上院外交委員会の面々と会い、コロンビア政府は米兵駐屯を一基地にのみ留めるとする米軍事協定を更新するだけのことだと釈明した。
 同国駐屯の米兵は、最新情報機器の使用法や作戦の展開指導を行うだけで、実戦はコロンビア軍が当ることをウリベ大統領が確約した。
 コロンビア政治科学院のマルセラ・P・ボテロ院長は、「大統領は説明に行ったのであって、許可を貰いに行ったのではない。ウナスール会議では皆に叩かれるから、たとえルーラ大統領の懇請でも行かないほうがよい」と発言している。