ニッケイ新聞 2009年8月8日付け
陸・海・空、三軍の日系将官が一堂に会して、七月三十日午後七時からサンパウロ市の広島文化センターで「第二回日系著名人講演会」が開催された。日系最高位の小松パウロ・カズノリ陸軍中将、三谷エドゥアルド・シゲル海軍予備大佐、谷アントニオ・タクオ空軍大佐が講演。用意された二百三十席は全て埋まり、立ち見も含め約二百五十人が、普段聞く機会のない貴重な話に耳を傾けた。
同講演会はブラジル広島県人会(大西博巳会長)、ブラジル日系協会(京野吉男会長)、ACAL(リベルダーデ文化福祉協会、池崎博文会長)、汎アメリカン・ブラジル日系人協会(矢野敬崇会長)の四団体が共催。広島県人会の平崎靖之理事がコーディネーターを務めた。
サンパウロ南東二十二部隊のセルジオ・ルイス・スタンカンチ陸軍中佐、在聖総領事館の脇谷和忠副領事、遠藤マリオ・日系協会副会長(予備空軍大佐)、聖南地区百周年協会の折田茂郎会長なども訪れた。
講演は大型スクリーンに写真や動画を映しながら行われた。
トップバッターの三谷海軍予備大佐は、階級章や海軍学校について説明したほか、所有する軍艦やリオの海軍基地について紹介。
続いて谷空軍大佐は、軍用機の種類や所有台数、ミサイルの説明とともに、南極での支援活動の様子や、アマゾン地域での公共工事などについても紹介した。
最後に演壇に上がった小松陸軍中将は、軍が関与した線路や道路、空港などのインフラ整備について紹介し、さらに、災害時における、給水や医療などの活動について説明した。
来場者は終始、日系将官から語られる話に耳を傾け、興味深げにメモをとる人もいた。講演終了後、主催者らから三氏に記念品が贈られ閉会した。
フリージャーナリストの外山脩さん(67、静岡)は「日系将官に、日本の軍人魂、武士道など精神的なものが受け継がれているか確認したかったから」と訪れた理由を述べ、「企画としては優れていたが、日系人相手に説明するなら、もう一つ欲しかった」と語った。
海軍が一番好きだという松村滋樹さん(67、鹿児島)は「若い人に向けての講演会だったが、企業ではなく、軍隊の偉い人と会える機会が少ないので、有意義だった」と話していた。
講演後、会場では参加者と講演者が気さくに会話をし、記念写真を撮る場面も見られた。制服から背広に着替えた小松中将は、くつろいだ様子で「日系人はいろいろな困難にぶつかっても、負けずに頑張っている。こういうイベントが出来たのも、友人、家族、兄弟のおかげ。感謝している」とニッケイ新聞の取材に答えた。
二度目の講演会を無事終えた大西会長。「日系の心を三世、四世の若者に伝えたい。(三氏のような)立派な人が増えてくれれば」と話す。
平崎理事は「このような会をこれからも広島県人会が中心となって開き、日系社会を盛り上げていきたい」と意気込みを語った。