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ウナスール首脳会議=軍事基地抜き宣言文を=情報の一人歩きか=空転するブラジルの指導力=南米を熟知する米情報局

ニッケイ新聞 2009年8月11日付け

 ルーラ大統領は九日、十日開催のウナスール(南米同盟)首脳会議で加盟各国とのチャンネルを持ちながら、意見がかみ合わないことで、これ以上の混乱を避けるためカクテル・パーティに臨まず帰国の意向を発表と十日付けフォーリャ紙が報じた。宣言文は、米軍基地に関する条項を平和裏に解決と修正する。ブラジル政府は、米コロンビア軍事同盟が同国を要塞国家に仕立て、米軍事活動の拠点とする計画を白日にさらす考えであったが薮蛇になったようだ。

 首脳会議開催地エクアドルのキトーに一番乗りをしたのは、ボリビアのモラレス大統領。反コロンビアの旗を振り回し、南米のいかなる場所でも、外国人への基地提供を禁じる。ウナスール会議は、コロンビアを抑えこむチャンスであると宣言した。
 それに対しブラジルは、コロンビア国内に限る軍事作戦ならと条件をつけた。ブラジルが懸念するのは、米軍の力がコロンビア以外の国に及ぶこととコロンビアによる管理をはなれること。それから米コロンビア軍事同盟は、不透明な部分が多いと糾弾した。
 しかし、チリとウルグアイ、パラグアイ、ペルーは、軍事基地をコロンビアの国家主権と内政問題であると考慮した。ベネズエラのチャベス大統領は、コロンビアを「米帝国の植民地」と位置付けしたが、態度を豹変させた。
 エスタード紙はコロンビアのラ・サバナ大学政治科学のカルロス・ヴェラスケス教授の見解を報じた。ブラジルの懸念は、米国がアマゾンの国際管理を提唱することという。米政府が南米で発言権を強めるなら「アマゾン熱帯雨林は、ブラジルの独占物ではない」と言い出すかも知れない。
 さらにブラジルは、アマゾンを管理する能力がないといいかねない。密林を伐採して、大麻を植えている情報をCIAは確認済みだ。米軍はコロンビアから大麻栽培を一掃し、次は南米全域が照準に入っている。
 エクアドルのマンタ基地では過去十年、コロンビア軍と米軍が共同作戦を展開していた。ベネズエラ・ロシア軍事同盟や中国・イラン軍事同盟などに、ルーラ大統領は何もいわなかった。
 ブラジルとフランスは原潜建造の技術協定を結び、コロンビアに何の打診も諒解もなかった。コロンビアは、隣国の軍事装備に均衡のとれた軍備を整える必要があると考えているようだ。
 十日付けG1サイトによれば、米コ軍事同盟については、今月中にもう一度、臨時の首脳会議を開くという。