ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

家計を助ける小さな手=ごみ捨て場で死んだ11歳児=この子達の将来はいかに

ニッケイ新聞 2009年8月12日付け

 ブラジルの最貧州の一つ、アラゴアス州州都のごみ捨て場で、一晩中働いて眠り込んだ少年がトラクターに頭を潰されて即死という事件が発生した。
 七月三十日未明に起きた事件は、家計を助けるため、マセイオー市内のごみ捨て場で働いていた一一歳の少年が、疲れ果てて眠ってしまい、ごみの圧縮作業中のトラクターに頭を潰されてしまったというもの。
 七日のテレビニュースや同日付G1サイト、非政府団体AALONGサイトなどによると、カルロス・アンドレ・シウヴァ君は、兄弟三人で現場のごみ捨て場に入り込み、食べ残しの物などで腹を満たした後、一晩中再生ごみなどを集める内、疲れ切ってごみの山の中で眠ってしまった。
 事件が起きたのは四時頃。ごみ捨て場には照明もなく、ダンボールを被って寝ていた少年に気付かないトラクター運転手は、圧縮作業中に少年を巻き込んだ。「お前、俺の兄弟を殺したな」と叫ばれて気付いた時はもう遅く、少年は即死。同事件で明らかになったごみ捨て場で夜働く子供の存在は、行政当局などにも大きな衝撃を与えた。
 本来は〇七年に閉鎖されているはずだったというごみ捨て場には、侵入防止の壁はあるが、あちこちに穴があり、ごみをひっくり返して見つけた品で、家計を支える人達が引きも切らない。
 特に、子供の場合、大人と争う事を嫌い、夜のごみ捨て場に入り込むことが多く、事故後も、現場では、トラクターなどの間を縫ってごみの山をあさる子供達の姿が後を絶たないという。
 児童労働、衛生・安全面の管理責任などを問われた市当局は、十日になって市の管理責任を認め、新しいごみ捨て場建設までは現場を囲い、照明を設置する、入り口には監視用の小屋を建て、昼夜の監視を置く、新しいごみ捨て場は六〇日以内に建設開始、などの対策を講じると約束。
 しかし、侵入防止だけでは、ごみ捨て場で腹を満たし、家計を助けようとする大人や子供の生活救済には不十分。地域経済活性化、雇用促進、教育拡大など、背後の問題にも光を当て、解決の道を探らなければ、第二、第三のカルロス君事件が起きかねない。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button