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外貨準備高=米国債処分は正解=世界に逆行したブラジルは賢明

ニッケイ新聞 2009年8月13日付け

 中央銀行は十一日、リーマン・ブラザース銀行破綻二週間前の昨年八月末から今年五月三十日までに、危険分散のため、金融資産として保有していた米国債の一七%にあたる二百五十五億ドルを処分し、外貨準備高を千二百七十一億ドルにしたと発表したことを十二日付けフォーリャ紙が報じた。
 金融危機の到来は、予想されたことであった。中国の四〇%やロシアの一九・五%など、米国債の大口債権国十五カ国が同行破綻前夜まで買い進めるなか、ブラジルは逆に処分した。金融危機が表面化した後、中国とロシアはブラジルのように、米国債の処分を宣言したがチャンスを逸した。
 金融危機の発生当初、各国は「有事のドル」と米国債に飛びついた。そのため各国は、高い買物をした。その後、米経済悪化への嫌悪感とリスク高から米国債は下落。その流れに逆行したブラジルは、米国と抱き合い心中をせずに済んだ。
 米国にとってブラジルが処分した米国債額は、米GDP(国内総生産)の〇・二%と僅かであるが、これからの大口投資国と期待される国が資金を引き揚げるのは、信用が基本である資本主義経済では痛手であった。
 中銀は外貨準備高を危険分散のため、複数国の債券で保有した。外貨準備高はヘッジ(金融防衛)で管理し、公債とのバランスを図る。外貨の危機管理は、安全確実と流通量、配当率の順で運用先選定を図る。
 中銀は昨年早々、投資の危険分散を検討していた。米国債に代わり、KfW(ドイツ復活金融公庫)やBIS(国際決済銀行)、ドイツやイタリア、スペイン、スエーデンの国債など国際評価で保障度の高いものに目をつけていた。
 多くの国々は、外貨準備をポートフォリオ(有価証券目録)へ投じた。ドル通貨の下落による購買力低下を防ぐためだ。もしも米経済が復活したら、話は変わる。それでも米国の債務はGDP比四一%が噂され、二〇一九年には八二%という。

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