ニッケイ新聞 2009年8月18日付け
新型インフルエンザ蔓延を防ぐため二週間にわたった授業閉鎖を解除し、サンパウロ州とリオデジャネイロ州、パラナ州、サンタカタリーナ州と、南リオ・グランデ州の一部の公立校生徒千百万人が十七日、登校したと同日付けオ・グローボ・サイトが報じた。南リオ・グランデ州では、九月まで授業閉鎖続行の町もある。ペルナンブッコ連邦大で即時検査法が開発され、国家衛生庁の認可が待たれている。新型インフルの感染が最も集中したのは南部と南東部で、犠牲者が三百人に達した。
ペルナンブッコ連邦大学(UFPF)は十七日、新型インフルエンザの感染を五分で確認する独自の検査法を開発と発表した。これまでの真性検査が十五日間もかかったのと違い、即時に治療開始ができる。検査費用は、僅か〇・七五レアルでできる。
同大学物理学科が二年前から続けていた、蛍光物質を使ってバクテリアやウイルス病原菌による病気の判別を行う研究を適用したもの。同大学で、今回流行している新型インフルのH1N1ウイルスで実験してみたところ、同ウイルスの確認に成功した。
感染被疑者の確認には、電子顕微鏡で蛍光分子と遺伝子を混ぜるだけで、五分で反応が現れる。H1N1ウイルスには独特の繁殖法があり、容易に判別できる。しかし、病院で同方法を使用するには、国家衛生庁の許可を要する。衛生庁が認証すれば、新型インフル対策の前進になりそうだ。
保健省と教育省は十七日、感染の疑いがある教師や生徒に治癒が確認されるまで自宅待機を通告した。両省は新型インフルの予防指導を行い、学友への感染阻止に努めている。各校には、感染被疑者は帰宅し、自宅待機に服するよう両省の通告を貼り出している。
南リオ・グランデ州南ロザリオ市は二十四日、授業再開。サンガブリエル市は三十一日、再開。サンターナ・デ・ボアヴィスタ市は九月一日、再開。私立校は、独自判断で再開となった。
ブラジルは現在深刻な事態にあり、新型インフルを心配したほどではないとする軽率な言動を慎み、最も感染し易い学童への指導は最優先事項とするようサンパウロ州保健局伝染病課が通達した。公立病院では、医師や看護婦にも犠牲者が出ており、修羅場の状態にある。
サンパウロ州では土日祝日、不足分の補習授業を行う。教師は生徒に感染防止法を指導するほか、休憩時間を変更し、生徒の集合を避ける。机の間隔を離す。生徒は手洗い用のタオルと石鹸を家から持参する。父兄は、児童に衛生観念を躾る。寒い日も、窓は開けておく。