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米コ軍事協定=南米はどう変わる=米抜き麻薬戦争に挑むか

ニッケイ新聞 2009年8月18日付け

 米コロンビア軍事協定により南米はどう変わるのか国際問題評論家のクロヴィス・ロッシ氏は十五日、次のような論説を投稿と十六日付けフォーリャ紙が報じた。
 コロンビアの米軍基地が南米地域にもたらす当惑は、「米国人のための米国主義」を宣言したモンロー主義を南米へ打ち込み、地域の自立を促す。モンロー主義は当時、欧州の植民地主義終焉を意味した。各国が独自の力による各自の安全保障を要求したもの。
 ウナスール(南米同盟)創設の理念は、ルーラ大統領初め地域指導者の「南米人のための南米」で、麻薬とテロ対策を含む安全保障であったはず。だから米コロンビア軍事協定は、問答無用の合意とみるべきだ。
 南米でのモンロー主義は、ラ米諸国への米国の内政干渉と協力という相反する面も生じさせる。メキシコのカルデロン首相は十三日、コロンビアのウリベ大統領と麻薬対策協定の締結を合意。同国の麻薬関係者一万人が、コロンビアで実地訓練を受けることになる。
 コロンビアではメキシコの一万人に米兵八百人が、情報の共有と拉致の訓練も行う。このような事実を前にウナスール加盟国は、コロンビアの活動にどう対処するか。
 米政府は過去十年、コロンビアの麻薬対策に大金を投じ、コロンビア政府も六百人の麻薬関係者を米刑務所へ収監した。それにも関らず同国の麻薬取引は増え、常習化している。麻薬組織には、私兵集団もある。
 コロンビアの米軍基地は、南米を米州南部に塗りかえた。ブラジルは麻薬対策を米軍抜きで独自に挑むか、米軍の協力を含めた共同体制で取り組むのか決断を迫られるときが来る。