ニッケイ新聞 2009年8月19日付け
先月三十一日から今月十一日まで行われた国際協力機構(JICA)実施による「教師海外研修」の報告会が十日午後二時から、テレビ会議によって開かれた。
ブラジリアのJICAブラジル事務所、サンパウロ支所、国際中部センターの三カ所をJICA―NETで繋いだ。
江口雅之ブラジル事務所次長、千坂平通サンパウロ支所長、矢部優慈郎国際中部センター課長ら約十五人が出席した。
ブラジル人の子供たちが多く通う中部地方の学校から池田恭子さん(長野)、千葉かおるさん(愛知)、夏目佳代子さん(岐阜)、二ノ宮律乙子さん(岐阜)、本多知沙子さん(愛知)、森由香里さん(静岡)、山崎晃さん(長野)、芳岡哲親さん(三重)の八教員が同研修に参加した。
研修ではサンパウロ市からパラー州ベレン、トメアスー両市を回り、移民資料館や福祉団体、日本語学校を見学。トメアスーでは二人ずつに分かれ各家庭でホームステイを体験した。
報告会では、「研修を通して自身の中で変化したこと」をテーマに参加者がそれぞれ感想を述べた。
上田市立東小学校の集中日本語教室で教える池田さんは、「ブラジル人の子供たちがどういう環境で勉強してきたのか知ることが出来た。自分の仕事の重要さや責任を感じた」と話す。
森さん(浜松市立高台中学校)は、「ブラジルでの日系人の頑張りを生徒たちに伝えていきたい」。また、クラスでブラジル人と日本人の子の間に溝があるのを懸念していたことから、「日本人の子供たちにも働きかけ、ブラジルを好きになってもらえるようにしたい」と力を込めた。
芳岡さん(津市立誠之小学校)は、「ブラジルの学校では日系人の良い点を伝えていた。その点に学び自分たちもブラジルを肯定的に受け入れていきたい」と意気込む。
また「ブラジル人の家族を大切にする雰囲気に素晴らしさを感じた」。
千坂所長は、「デカセギ現象の中で子供たちの存在が目立つが、ブラジルの教育現場を肌で感じる良い機会になったのでは」と話し、「研修の成果を実際の学校現場で活かして欲しい」とエールを送った。