ニッケイ新聞 2009年8月21日付け
上院倫理委員会は十九日、サルネイ上院議長(PMDB=民主運動党)に対する職権乱用告発を却下と二十日付けフォーリャ紙が報じた。ルーラ大統領の指令を受けたPT(労働者党)上議とPMDB上議の票が上院疑惑を握り潰し、議員倫理が地に堕した嘆かわしい表決であると各紙が一斉に評した。
多くの倫理委員は、マイクを通さず密かに票を投じた。アマラル上議(PT)は「自分を偽る不本意な行為であった」と告白した。大統領の指令批判は、PT党内でも沸騰した。
政治倫理に関するPTの看板は、塗り替えられた。これからPT政治は、倫理批判の矢面に立たされ、大統領の介入により党を二分することになりそうだ。
シモン上議(PMDB)は「十九日は、労働者党がルーラ党に変心しサルネイ上議やコーロル上議と合流した徒党に成り下がり、マリーナ上議を失った」と評した。「労働者党の歴史は打ち砕かれた」とトーレス上議(DEM=民主党)は表決を非難した。
倫理委員会開会前の十九日早朝、大統領と会談したカルヴァーリョ大統領最高顧問が、「サルネイ上議を助けなければ、PTとPMDBの連立は崩壊し、ロウセフ官房長官の次期大統領への道が、断たれる」と訴えた。PT上議たちは、これに同意する大統領指令に従った。
野党は十九日、上院本会議で倫理委員会の決議を俎上に上げる考えだ。倫理委でサルネイ告発を却下したが、その他の捜査は続行している。検察庁は、未公表の件で刑事責任者を追及している。マラニョン州検察局は、サルネイ財団の公金横領やペトロブラス献金のサルネイ幽霊企業への流用などを追跡中。
サルネイ上院議長は十九日、カリェイロス上議(PMDB)とともに「一件落着」と宣言し、祝杯を上げた。