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ISECが『カエルの教室』開講=帰伯子弟に無料ポ語教室=「誰かがはじめなきゃ」=生徒、教師を募集中

ニッケイ新聞 2009年8月21日付け

 「ポルトガル語が話せない子供たちがたくさん帰ってきている」――。デカセギ子弟問題に取り組むISEC(文化教育連帯学会、吉岡黎明会長)のカエル・プロジェクトが、九月から子弟向けの無料ポルトガル語教室を開講する。「誰かが始めないと」――、そんな関係者の思いからスタートした教室の名は「カエルの教室―Kaeru Educacional」。生徒の募集とともに、現在、子供たちに教えられる教師の参加も呼びかけている。

 カエル・プロジェクト責任者の中川郷子さんは、現場での実態調査や、連日のように教師・親からくる相談などで帰伯子弟が抱えている言語問題の現状を目の当たりにする日々だ。
 「地方日系団体がポルトガル語教室を開かないか打診したが、どこも興味を示さない。教育局の尻を叩いても全く進まない。まずは私たちがやるしかない」と開講に踏み切った。
 同プロジェクトのメンバーはすべてボランティアで資金もない。そんな中、元ポルトガル語教師の酒井讃子さん(77、二世)が名乗り出て、週三回、午前と午後に一時間半ずつ教えることになった。教材も協力を呼びかけてかき集めた。
 「アルファベチザソン(識字教育)をしっかりやることが大事。学校の宿題や復習も見ます」と酒井さんは腕まくりする。定員は十五人程度で、「ポルトガル語を知らない子供なら誰でも」受け入れる。
 教室となるISEC事務所は文協ビル地下の奥まった一室だが、「こんな暗い部屋では子供たちが可愛そう」と壁を塗りなおした。十八日にはメンバーが集まり〃イナウグラソン〃。「カエルの教室をきっかけに教育局や日系団体を巻き込んで、いろんな場所で開けたら」と中川さんは語っていた。
 ISECは生徒のほか、識字教育ができるバイリンガル教師を募集している。
 【カエルの教室】▼日程=月・水・金曜日の午前九時からと午後二時半からの二回。一時間半。▼場所=文協ビル地下一階ISEC事務所(太鼓協会事務所の奥。Rua Sao Joaquim, 381)。▼電話=11・3203・1916。▼メール=projetokaeru@isec.org.br又はkyoko@uol.com.br(中川さん)。▼サイト=www.isec.org.br。