ニッケイ新聞 2009年8月25日付け
「日の丸切り裂き事件」なるものがあった。鹿児島県霧島市で起きたものであり、民主党から出馬しているみなよし稲生氏の演説会で国旗の日の丸を2つに切り裂き民主党の党旗にし、演壇の後方に掲げていた。これには小澤一郎代表代行も出席していていたが、この暴挙は国辱ものだと非難が高まっている。岡田克也幹事長が現地に電話し口頭で厳重注意したけれども、麻生首相の批判は激しくも厳しい▼「日の丸」と「君が代」については、今も日教組系の教師らの抵抗が強いが、これは小渕恵三内閣が1999年に「国歌国旗法」を制定し、すでに国民の中に定着している。このときの国会審議は激しい論戦があったのは記憶に新しい。衆院の採決では自公の圧倒的な多数で可決したが、民主党は自主投票だった。賛成は45、反対が46票の記録が残っている。つまり、自民党と旧民社党の出身者は法案に賛成し、旧社会党系は反対に廻り国会は混乱した▼麻生首相は鳩山代表との党首会談でも鋭く迫っているし、事が事だけに岡田幹事長の「厳重注意」で済む問題ではあるまい。民主党立候補者の熱烈な支持者が作ったものだそうながら、党の最高実力者を招聘しての演説会なのに党の旗がないというのも可笑しな話ではないか。また、民主党の旗は2つの丸い円を組み合わせたものだが、日の丸を2つに切り繋げればよく似たものができる。それにしてもお粗末であるし、情けない▼それもこれも複雑な党内事情もあるらしいけれども、国旗と国歌は大切にーは次期政権を目指す政党にとっても尊敬の的であるはずなのにー(遯)