ニッケイ新聞 2009年8月26日付け
ブラジル日本移民百周年協会(上原幸啓理事長)は二十二日午前、定期総会を開き、〇七、〇八年度会計報告、本年度予算の承認、役員改選を行なった。理事ら三十人が出席した。会計報告では、約十三万レアルが協会の口座に残っていることが報告され、出版・映像部門が存続することを理由に協会は当面解散せず、上原理事長が続投することが決議された。百周年全体にかかった総費用は、千二百三十七万レアルだったことが発表された一方、免税口座団体「日伯社会文化統合機関」(OSCIP)の残金は約二十万レしかなく、当初からの構想だった日系社会の基金としての活用は厳しいことが明らかになった。在サンパウロ総領事館から出席した大部一秋総領事、松代俊則領事も、「無事、会計も報告され安心した」と話した。
当日は午前九時から理事会、十一時から総会が開かれ、森口イナシオ副理事長(援協会長)が司会を務めた。
原長門コーディネーターは、「現在の段階で十三万レアルの残金がある」と赤字会計にならなかったことを発表。
〇七年度の会計報告では、約四十四万レアルの収入に対し、五十四万レの支出で約十万レの赤字だったが、〇八年に四十二万レ(収入は二百二十一万レ、支出は百七十九万レ)を本年度に繰り越している。
本年度の予算に関しては、二十八万レアルを計上していることを報告、「ブラデスコ銀行からの十万レは確実だが、入金が確実でない協力企業もあり、事業を縮小する可能性もある」(原氏)と話している。
〇七、〇八年にあった事業の総費用が一千二百四十万レだったことも発表。ルアネー法が適用された六月の式典(四百二十九万レ)、日本週間(百三十八万レ)のほか、観光省(三十七万レ)などが報告され、連邦、州、各市やメディアからの協力があったことも報告された。
OSCIPに約二十万レの残金があるが、これは日本語版百年史出版費用に充てられる十七万レ(日伯修好基金)が大部分で、当初の計画にあった基金としての運営は困難な状況といえそうだ。
会員からは「協会を閉め、OSCIPに完全移行してもいいのでは」との発言もあったが、百年史編纂事業や記録映像DVDの制作などが継続しているため、継続することが確認された。
三年の任期を暫定的に二年にした役員改選では、上原理事長が続投、副理事長団体を約四十から九団体に減らすことで承認された。
十月九日に文協で日系議員や企業に対する感謝状贈呈式を執り行うことが発表された。
渡部和夫顧問は十月二十六、七両日に国際交流基金サンパウロ文化センターで各界有識者を集めたシンポジウムを行なう計画を進めており、参加を呼びかけた。