ニッケイ新聞 2009年8月29日付け
亜国バリローチェで二十八日、加盟十二カ国の代表を集めてウナスール(南米同盟)首脳会議を開催と二十八日付けフォーリャ紙が報じた。同会議は、急遽立ち上げた南米地域の安全保障委員会の内容を協議する。加盟各国に、軍事費の内訳や戦略計画を公表させ透明性を義務づける。南米安保委員会は九月、エクアドルのガラパゴス島で発足とともに内容を条文化する予定。協議は米軍の地域介在や各国が有する軍事協定、アマゾンなどが広範囲にわたり協議されるようだ。
今回ウナスール会議の中心議題は、南米安保委員会が統轄する範囲をどこまで広げるかだとガルシア大統領国際顧問が述べた。コロンビアのウリベ大統領の出席を促すため被告扱いを避け、各国の戦略構想と軍拡計画を披露してもらう。
コロンビアは、加盟各国が締結する軍事協定について内容公開を求める意向。ロシアやイラン、中国、Farc(コロンビア解放前線)との関係、また伯仏軍事協定も含むようだ。ボリバリズムの輸出も俎上に。
ルーラ大統領はウナスール会議に先立ち、チャベス大統領との二者会談を行い、会議の大筋を説明する。また伯仏軍事協定が原潜建造の技術協定を結んだことで、核開発の詳細を説明することになっている。
ウナスールの前身ともいえる米国抜きカーザ(CASA)が二〇〇四年十二月、締結された。そのカーザが機能しないのに、何故いまウナスールなのか。国際問題の専門家は、南米は独自の力で地域の問題を解決できるのかという目でバリローチェを見ている。
ブラジルの懸念は「南米地域に外国軍が近代装備を持ち込んで介在、南米全域を監視し物議をかもすことにある。ブラジルが欲しないことに、外国の軍隊が関与しない保障が欲しい」とアモリン外相が語った。
南米地域に駐留する外国の軍隊と装備が、行ってはならないことを明記する必要がある。外国軍の南米駐留は、政治的と心理的に非常に微妙であると外相は見ている。
先ずアマゾン熱帯雨林の国際管理で布石という見方がある。アマゾンへの干渉は、歴代の左右両派政権、軍政も民政も杞憂していた。それは、妄想誇大症ではない。これは世界が、アマゾンの国際管理を提起してきた歴史があるからだ。