風光明媚なリオ市の汚点=自宅前で強盗、外科医重体=市民からも治安悪化嘆く声
ニッケイ新聞 2009年8月29日付け
リオ市南部のイパネマで二十六日夜起きたバイク強奪事件で、犯人に撃たれた医師が、昏睡状態の上、肺炎を起こした状態で集中治療室に居る。
二十七、八日付G1サイトや二十八日付エスタード紙などによると、胃の縮小手術で知られるパウロ・A・S・ロペス医師は、自宅前で二人組の強盗に襲われ、銃弾を浴びた上、購入したばかりのバイクを奪われた。
事件当時、被害者の住むナシメント・エ・シウヴァ街を見回っていた警備員等の証言によると、ロペス医師がバイクで帰宅したところに現れたバイクに二人乗りの賊の一人が医師と揉み合い、別の男が医師の頭に向け四~五発発砲。三発はヘルメットに当たって逸れたが、もう一発は、医師のうなじに当たった。
倒れた医師をよそ目に、二人組は医師のバイクを奪って逃走。息子によって病院に運ばれた医師は、救急処置後、別の病院で手術も受けたが、銃弾の摘出手術は出来ないまま機械呼吸の状態。二十八日には肺炎併発とも報じられている。
地域住民によれば、同地域の警備は甘く、警察車両による巡回もまれ。住民が頼んだ私設警備員以外の治安対策は殆ど採られていなかった。
また、リオ市でのバイク盗難事件は増加傾向にあり、事件のあった南部での一~五月のバイク盗難は三八〇件。前年同期比で一二・四六%増加と二十八日付G1サイト。同日付エスタード紙によれば、市全体では同時期に二一二八台が盗まれ、前年同期(一六五八台)比で二八・三%増だ。
特に、被害にあったロペス医師が乗っていたBMWは、狙われ易い車種の一つ。モーロなどの手入れでは、必ずといってよいほど盗難バイクも押収されると二十八日テレビニュースも報じ、麻薬組織の収入源の一つにもなっているようだ。
医師の妻と六歳の娘はベランダに居て一部始終を目撃し、ショック状態という同事件後、警察車両による巡回は強化されたが、医師の兄の「風光明媚で自分も大好きなリオは暴力で犯されて、被害を避けるには、一人一人が鉄格子の陰に隠れ、持ち物も人目に触れないようにするしかない」と嘆く声が、リオ市の現状を物語ってもいる。