ニッケイ新聞 2009年8月29日付け
最高裁は二十七日、アントニオ・パロッシ前財務相に対する管理人の口座違法開示の告訴を却下する判決を下したと二十八日付けフォーリャ紙が報じた。検察庁の告訴を却下した理由は、前財務相が連邦貯蓄銀行(カイシャ)総裁に違法開示を命じたとする証拠が不明瞭という。
また、同裁判に連座した連邦カイシャのマトーゾ前総裁は、口座明細表を自発的に開示した実行犯として有罪判決。口座明細を公表したマルセーロ・ネット前財務相報道官は無罪となった。これでパロッシ前財務相は、二〇一〇年総選挙に参加の道が開かれた。
最高裁の見解では、前財務相と連邦カイシャ前総裁の間に上下関係はなく、前財務相は口座開示を命令する権限もない。前総裁が好意として違法開示を行い、管理人が買収された疑惑のある口座を前財務相に提供したと見ている。
前財務相がブラジリアの別邸で不正資金の山分け会議に出席していたことを管理人が証言、同相は窮地にあった。そこへマトーゾ前総裁が、管理人を陥れる策を助言。管理人の口座に収入と見合わない入金があることで収賄説を捏造した。
同日付けエスタード紙は、前財務相が犯罪に関与した意図が明らかだと主張したM・A・メーロ判事の見解は無視されたと報じた。
同裁判は無力な一庶民対国家権力の頂にある者との法廷闘争として、全国民から注目された。前財務相の弁護人は「本法廷は国家財政を仕切る最高責任者と卑賤の徒との論争の場ではない」とし、管理人の出る幕ではないことを強調した。
同法廷は、最高権力や最高裁とは何かを、無力な国民に見せつける舞台となった。弁護士に伴われて出廷した管理人には、証言の機会はなかった。記者団は管理人に、どんな結果を期待したかと質問。管理人は「パルメイラスが勝ってくれたらよい」とだけ答えた。