ニッケイ新聞 2009年9月2日付け
「日本にいないからこそ日本人の心を温めてきた移民の方々を思って歌いたい」。大阪・サンパウロ姉妹都市提携四十周年記念し、日本のメジャーから発売された初めてのブラジル移民の歌「みかえり富士」を披露すべく初来伯した、大阪市音楽親善大使の民謡歌手・成世昌平さん(58、広島)は八月三十一日に着聖、本紙を訪れ抱負を語った。
「本当は昨年来たかったけど、でもどうしてもスケジュールが合わなかった。ついに来伯を実現できた」と成世さんは笑顔で話す。一九八五年に日本クラウンレコード専属契約、「はぐれコキリコ」などのヒット曲がある有名歌手だ。
成世さんが特に力を込めるのはズバリ「みかえり富士」(日本クラウン)で、「みかえり仰ぐ富士の山 あの姿 鑑(かがみ)かな 日本の誉れというひとの ブラジル目指し 乗り込む移民船」という歌詞の本格的ブラジル移民の曲で、今年二月に発売されたばかり。
さらに「ノスタルジア椎葉(しいば)」は、戦後日本で大ヒットした民謡「ひえつき節」の作詞者で、ブラジルに移民しサンパウロ州スザノ市で亡くなった故・酒井繁一氏を顕彰した曲。メジャーから発売された、特定の移民を顕彰した曲も初めてだ。
成世さんら大阪市慶祝団が参加して行われる記念歌謡ショーと紅白歌合戦は、五日午後一時から文協大講堂(サンジョアキン街381)で開催される。サンパウロ市大阪姉妹都市協会(高木ラウル会長)、ブラジル日本アマチュア歌謡連盟(北川好美会長)が共催、読売新聞社、クラウンレコードが後援する。
成世さん、作詞家のもず唱平さんが出演し、第一部「成世昌平ふるさと民謡巡り」、第二部「作詞家もず唱平大阪芸術大学教授特別講演」、第三部「成世昌平歌謡ショー」、第四部「日伯交流紅白歌合戦(両国から約三十人が出場)」などが行なわれる。
第一部では各地の民謡を歌った後、会場からのリクエスト曲を歌う企画もあり、盛り上がりが期待できる。
第三部では「はぐれコキリコ」はもちろん「貝殻恋唄」「逢えてよかった」などを披露。話題の「みかえり富士」はブラジル初だ。また船村徹作品メドレーで「王将」や「矢切の渡し」「みだれ髪」も歌われる。
成世さんは「皆さんに自分の歌を歌ってもらっているだけでも嬉しい」と話し、「大阪市からのプレゼントとして一生懸命歌います。皆さんに喜んでもらいたい」と期待を込めた。
案内に訪れた成世さん、北川会長、北川彰久名誉会長、同連盟会員らは「この機会に、ぜひ移民の歌を聞きにきて下さい。一緒に一日音楽を楽しみましょう」と来場を呼びかけた。
当日券三十レアル。問い合わせは、同連盟(電話=11・2275・8277)まで。前売り券(三十レ)の購入は、同連盟又はニッケイ新聞社(3208・3977)まで。