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新油田開発要綱=マンモス岩塩層下公団誕生か=増資金捻出で奔走=野党は選挙宣伝と軽視=成るかブラジルのロマン

ニッケイ新聞 2009年9月3日付け

 岩塩層下油田の開発が始動したことで政府は九月一日、ペトロブラス石油公団への大型増資に社会開発銀行(BNDES)の公的資金を投入し、同油田開発をてこ入れする方向で討議に入ったと二日付けエスタード紙が報じた。計画では、政府発行の国債一千億レアルをBNDESが融資金として同油田開発に運用する。一方、野党は政府の同油田開発要綱がペトロブラスを超大企業に育てることで、投資者の立場から連邦令に抵触するとして、審議の阻止を図った。

 政府とBNDESは、一千億レアルの国債による融資契約書に署名した。これまでに、六百四十億レアルは発行済み。さらに一日、八十五億三千万レアルを発行。残り二百七十四億七千万レアルは、追って発行されると官報に公布した。
 これでペトロブラスの資本構成率は政府が四〇%、一般投資家が六〇%になる。政府はさらに出資率の増加を望んでいるが、投資家の同意を得る必要がある。ペトロブラスは、手持資金を減らすことなく岩塩層下の試掘に専心ができる。
 岩塩層下油田の石油は五十億バレルの原油価格をベースにして、投資家の関心を呼び増資を容易に行えるような価格設定を行う。だからバレル当りの原油価格が、政府の公的資金投入額となる。それによって投資家の動機も決まる。
 八月三十一日に発表した増資計画では、ペトロブラスが五十億バレル単位で政府の公的資金投入と同額の試掘権を支払うとなっている。不安定な試掘権価格がこれから、二・五ドルから十ドルの間をさまよい、増資の度合が不透明になると関係者は見ている。
 岩塩層下油田開発にはペトロ・サウ公社が設立されるが、ペトロブラスは最低三〇%の操業参画が決まっており、単独での操業も可能。他の企業は、ペトロブラスとコンソルシオを組んで入札に参加することになる。
 政府による岩塩層下油田開発基準を、審議レベルに達していないと考えている野党は審議拒否。緊急動議というが、結果が出始めるのは二〇一五年から二〇二〇年。審議を急がせるのは、選挙のための我田引水の宣伝行為で、見掛け倒しだと批判した。
 岩塩層下油田のロイヤリティについてパラナ州のレキオン知事(PMDB=民主運動党)は、ブラジル全州へ配布すべきだという。海はサンパウロ州とリオ・デ・ジャネイロ州、エスピりトサント州だけの所有物ではないから、不公平だと抗議した。