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アマゾンの森は大丈夫?=20年で最少の損失だが=パラーでは伐採や焼失増加

ニッケイ新聞 2009年9月3日付け

 国立宇宙調査研究院(Inpe)が一日、二〇〇八年八月~二〇〇九年七月の法定アマゾンの森林伐採量は四三七五平方キロで、前年同期比で四六%減少と発表した。
 二日付伯字紙によると、衛星システムDeterによるデータ。二五ヘクタール以上の伐採のみの把握で、雲に隠れた地域は測定不能なため、環境省が年末に集計するProdesによるデータとは六〇~七〇%の差が出るが、〇八/〇九年の実態は八五〇〇~九〇〇〇平方キロになると推定したミンク環境相は、過去二〇年で最少の損失となる見込みだとも発表した。
 伐採量減少の理由について、環境相は、トラクターや電気のこなどの押収、罰金適用など、取締り強化を強調。アマゾン保護のための「火の弓作戦」などの効果ともいえるが、エスタード紙は、政府の取組みの他、経済危機や農業関連企業の協力なども上げている。
 一方、従来は伐採量で常にトップのマット・グロッソ州が六八・五%、ロライマ州も五六%と、伐採面積を大幅に減らしたのに対し、パラー州が二二・五%増で全体の四六%を占めているのは懸念材料だ。
 また、年間伐採量は四六%減少しても、六、七月では前年同期比一八・五%増。一日付G1サイトによれば、七月の伐採上位一〇市中九市はパラー州在。七市は〇八年一月発表の伐採量の多い三六市に含まれるが、パラー二市と八位のアマゾナス州アプイは新顔だ。
 特に、七月の伐採一、二位のノヴォ・プログレッソとアウタミーラは、八月三十日付エスタード紙が八月の火災発生集中地と報道。高価な木切り出し後の人為的火災の可能性も高い。アウタミーラでの七月の伐採は六月までの一一カ月の累積以上ともあり、政府の取締りが遠のいた地域では、景気回復と共に伐採増加の可能性もある。
 八月二十八日エスタード紙と同二十九日フォーリャ紙には、法定アマゾンの伐採地の二〇%で再植林との記事も出たが、選挙年は伐採が増えることも念頭に置くなら、〇八/〇九年の減少は手放しでは喜べないもの。環境相の「次年度は持続可能な開発に取組む」との発言は多くの課題も抱えたものとなりそうだ。