ニッケイ新聞 2009年9月3日付け
美味しい吟醸酒を楽しんで欲しい―。すでに市民権を得た日本食と共にブラジルに浸透しつある「SAQUE」。これまであまり知られていない吟醸酒の普及を目的に、サンパウロ市内のレストランで試飲会を行なった南部美人(岩手県二戸市)の久慈浩介専務取締役と、龍神酒造(群馬県館林市)の堀越秀樹製造部長が先月二十六日に来社、冷蔵コンテナによる輸送が始まったことをコロニアに報告。「日本と全く同じ味を楽しんでもらえます」と声を合わせ、ブラジル市場開拓に意欲を見せた。
サンパウロ総領事館、JETROの後援で昨月二十四~二十六日にあった試飲会では、吟醸酒の製造方法なども講演、レストラン経営者やマスコミ関係者ら約二百人が集まり、質問も飛び出すかなりの盛況ぶりを見せたようだ。
「先入観のない、反応の良さに驚いた。日本の方からは、『感激だ!』との嬉しい反応を頂きました」と嬉しそうな表情を見せる久慈さん。
このたび、ヤマト商事(高木和博社長)により冷蔵コンテナ輸送が実現。「日本と全く変わらない品質を保っている」と杜氏でもある堀越さんも太鼓判を押す。
南部美人はすでに十八カ国、龍神酒造は十カ国への輸出を行なっており、南米初となるブラジル市場を有望と見る。
高級店ができているサンパウロの日本食事情を「十数年前のニューヨーク」と評する久慈さんによれば、日本食が多様化、高級志向のレストランが開店した九〇年代に吟醸酒も普及、「現在では六百銘柄が手に入る」という。
来年、南アフリカで行なわれるワールドカップの公式アルコール飲料に十六の銘柄が選ばれたことから、「二〇一四年のブラジルW杯までに浸透させたい。酒は日本の伝統文化であり、芸術作品。ブラジルに広めていきたい」と二人の鼻息は荒い。
冷蔵コンテナで輸入された両酒造の製品は、カーザ小野ガレリア奥にある「アデガ・デ・サケ」(ガルボンブエノ街364、11・3208・2092)で購入可能。現在は、南部美人「大辛純米酒」(八十五レ)、龍神酒造「尾瀬の雪どけ」(百六十レ)を取り扱っている。