ニッケイ新聞 2009年9月3日付け
いや大変なことになっている。と煽るわけではないが、実際大問題だろう。南大河州ポルトアレグレの日本語モデル校が校舎として利用する建物の売却を、所有団体である南日伯援護協会が臨時総会で決めた。これを受け、モデル校関係者らが二日、クリチーバ総領事館に〃直訴〃する事態にまで発展している▼JICAと地元コロニアが八七年に購入、その後現在の場所に移転した。ブラジル政府による福祉認定団体の見直しに伴い、〇四年に援協の要請でモデル校の運営母体として便宜上、文協を設立。この際に建物も委譲すればよかったのだろうが、援協側が家賃を請求したことから、両者の感情が捩れ始める。購入に奔走した援協会員らが「文協の連中は我が物顔だ」と憤る気持ちも分かる▼ただ気になるのは「非日系の生徒が多い」という援協側の不満の一つを、メディアも参加した先月三十日の父兄説明会で公表したことだ。ブラジル社会は差別問題に関して敏感なだけに、変な報道をされては、百周年で大きく評価されたコロニア全体の威信にも関わる▼「協議離婚の条件解釈の相違」と地元の冷めた声も漏れ聞こえるが、〃犬も食わない〃問題ながら、意識的に同説明会を欠席した地元駐在領事、「現地の問題ですから」というJICA。確かに何の義務もない。だが、建物売却同様、「法的には問題ないが、モラル上どうか」ということに尽きる▼ここは一つ、日本語センターの谷広海理事長が現地に乗り込んでーとコロニアでの解決を期待したいところだが、現在訪日中。署名活動をしているという生徒たちは、どんな気持ちで授業を続けているのだろうか。 (剛)