ニッケイ新聞 2009年9月5日付け
マンテガ財務相とメイレーレス中銀総裁は三日、金融危機収拾を討議するG20財務相・中央銀行総裁会議出席のため金融の都ロンドンへ出発と四日付けフォーリャ紙が報じた。四日から五日にかけて開催される同会議は、リーマン・ブラザース投資銀行が破綻して丁度一年、IMF(国際通貨基金)とOECD(経済開発協力機構)の音頭で大恐慌を防ぐための安全弁設置を立案する。ロンドンのギルドホールは、金融の殿堂として八百年の歴史がある。ここでG20財務相らが集まって、金融システムの再構築を試みる。
中心議題は巨額の財政出動後の金融市場制御。過度の金融緩和によるインフレや、財政支出超過による国債価格の下落、長期金利の上昇をいかに防ぐかが話合われる。
また、銀行や投資家が受取る高額報酬に一定の制限を設けるかも討議。金融システム改革、タックス・ヘブン改革、IMFと世銀改革も課題だ。
しかし、今会議の雰囲気は、五カ月前のロンドン会議とは雰囲気が異なる。先進国政府は、二〇一〇年までに五兆ドルを投入して経済破綻を避けようとしている。ブラジルは幸い、そこまでは必要がなかった。
OECDは三日、G7の経済成長落ち込み率を四・八%から三・九%へ下方修正をした。二〇〇九年の経済状態が不安定な先進国は、予想以下の落ち込み率提示に安堵しているような有様だ。
OECDの第3四半期GDP(国内総生産)予想は、米国が一・六%、日本が一・一%、EUが〇・三%で、第4四半期も引き続き回復維持と見ている。金融市場の回復は、予測より早い。
フランスのクリスチン・ラガル財務相の「経済の落ち込みは止まった。しかし、回復には至っていない」は、状況を適格に把握している。最悪期に失った自信を取り戻し、挑戦する意欲を持ち続けろと警告。
OECDは、財政政策には保守的だ。各国は慎重な歳出と堅牢な財政政策を取り入れた長期計画を作れという。長期計画とは、政府の公的資金投入に頼るなということのようだ。
EUでは財政赤字を、マーストリッヒ条約でGDPの三%以下と決めている。三%以上の財政赤字を出す国は、信用に値しない。現在のEU加盟国は、全部失格だ。
オバマ米大統領は、世界経済のけん引役を降りると宣言。これからは豊富な財政黒字を持つ国が、世界経済をけん引すべきだという。すると中国となるが、四月のG20で中国は世界経済のけん引役を辞退した。
オバマ米大統領はイタリア・サミットで、「国際経済の需要喚起で、ルーラ大統領に音頭を採ってもらっては、どうだろうか」と打診した。