渋滞狙い繰返される窃盗=女性ドライバーの敵逮捕=リベルダーデ作戦で21人
ニッケイ新聞 2009年9月5日付け
ラッシュ時の渋滞で動けない車を物色し、窓ガラスを破って物品を奪う―このところ増加傾向にある強盗、窃盗事件の中でも、頻繁に繰返される同種の事件を捜査していたサンパウロ市市警が、八月十八日から九月二日に展開したリベルダーデ作戦で二一人を逮捕と四日付エスタード紙が報じた。
リベルダーデ作戦の実行範囲はセントロで、ラジアウ・レステの終るガルボン・ブエノ橋下からジュリオ・デ・メスキッタ・フィーリョ橋にかけてと、それと交差する23・デ・マイオ大通り。
女性が一人で運転する車が狙われ易く、平日の夕方から夜頻発する窃盗事件は、渋滞で動けない車を覗き、めぼしい品を見つけた窃盗犯が、石や金属片などで窓ガラスを破って物品を奪うもの。セントロは同種の事件が多い所の一つだ。
頻繁に起きる車を狙った窃盗事件対策には、浮浪者や麻薬常用者を装った市警の特殊作戦実行班一三人が参加。捜査官らが麻薬密売者らの間に入り込み、情報を聞き出したり、逮捕劇にも加わったりした今年三度目のおとり作戦の大半は、近くのアパートから録画されてもいる。
逮捕劇には、タクシー運転手を装った警察官も加わり、事件発生と共に、警官が駈けつけ、犯人を取り押さえるという形で展開。取り戻されたバックや携帯電話などを受取り、ホッとする市民の様子や、怯えて泣きじゃくりながらインタビューに答える様子などは、テレビニュースでも報じられたが、同作戦では、窃盗犯一五人と盗品と引き換えに麻薬を売りつけていた密売者六人を逮捕。クラックやコカイン、大麻他、三丁の銃器も押収されている。
密売者らに「お前と同じような恰好をした奴が仲間をとっ捕まえていったんだが」と問い質された警察官もいるなど、リスクも犯しながらの作戦では、地域の密売者のボスも逮捕されたという。
まだ幼い子供までが山刀を袖に隠して車に近づいて物品を奪い、麻薬と交換していたのはガルボン・ブエノ街の小さな公園脇。浮浪者を装った警官が鉄格子を乗り越え密売者らを制圧する様子などは、東洋街として知られるリベルダーデの知られざる顔だった。